http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080116-00000089-san-soci
堀江被告側は「1審判決は事実誤認」として無罪を主張する見通し。
1 控訴した側からの控訴趣意書の提出(控訴理由等を明示)
2 相手方からの答弁書の提出(これは出されない場合もある)
3 第1回公判期日の指定
といった経過をたどり、高裁には、1審の記録が送付されますから、裁判官は、記録を精査し、上記のような書面も検討した上で、第1回公判に臨みます。刑事の控訴審は、いわゆる「事後審」(事後審査審)ですから、1審の判決や審理手続等に誤りはないか、違法な点はないか、といった観点で「審査」が行われ、必要があれば新たな証拠調べも行われますが、調べられる証拠は、内容や必要性といった観点からかなり限定されることになります。
堀江事件の1審では、被告人、弁護人として、出し得る証拠は出し尽くし、可能な証拠調べも徹底して行われたはずですから、控訴審で、新たな主張を行う、ということは考えにくく、新たな主張として考えられるのは、1審判決の徹底した批判くらいではないか、と思います。
立証としても、今更新たな立証ということも考えにくいものがありますが、可能性があるとすれば、1審で証言した証人で「証言は間違っていました。真相はこうです。」と言い出した者がいて控訴審での再度の証言を求めるとか、1審判決後に新たな証拠が発見されその取調べを求める、といったことくらいしか思いつきません。
1審で無罪を主張し、有罪判決(実刑)を受け、控訴審で方向転換して有罪を認め、執行猶予付き判決を狙う、ということも、時々行われ、その場合は、1審で出していなかった情状関係の証拠を、控訴審で取り調べてもらう(ただ、あくまで高裁の裁量により、1審で取調べ可能であった、として採用されない恐れもある)、ということが行われることもありますが、堀江被告人の場合、控訴審でも無罪主張を繰り返すようであり、そういった立証はなさそうです。
有罪の場合であっても執行猶予はつけてもらいたい、と思いつつ無罪主張を行う場合はあり、その際、情状立証をどうするか、というのは、非常に悩ましい問題です。情状立証を行う、ということは、有罪になる可能性を自認する、ということでもあり、無罪主張を脆弱なものにする、ということになり、やらないほうが無罪主張は際立つものの、やっておかないと良い情状が出ず、有罪の場合に刑が重くなりがちです。堀江被告人や弁護団が、そういった点をどのように考えているかはよくわかりませんが、個人的には興味があります。
控訴審でできる新たな主張も、新たに行える立証も限られている、ということになれば、堀江被告人の公判が、かなり早期に結審して判決に至る、ということも十分考えられます。