サンデープロジェクトに出演した堀江被告人を見て(感想)

先程まで、テレビ朝日の上記番組に出演した堀江被告人を見ていました。時々、涙ぐむ場面もあり、やはり、実刑判決を宣告されたことにかなり衝撃を受けているんだな、と思いました。出演した主任弁護人が、以前の意気軒昂とした姿とはかなり変わり、顔色も良くなく、疲れた感じで、判決の不当性を必死に主張する様子にも、複雑なものを感じました。
刑事の控訴審は、裁判を再度やりなおすものではなく(専門用語で言うと「事後審」)、この事件でも、東京高裁が、原審である東京地裁の審理や判決に誤りがないかどうかを事後的にチェックする、というものになります。
もちろん、出た証拠の評価(この点については被告人、弁護人も大いに異論があるでしょう)については、高裁で徹底的に争うことはできますが、既に原審段階で行った主張の繰り返しにはなる可能性が高い上、刑事の控訴審では、新たな立証は大幅に制限される(原審で出すことが不可能だった証拠以外は基本的に取り調べてもらえない、と思ったほうが良いでしょう)ことになっていて、そもそも、原審で徹底的な証拠調べが行われているはずのこの事件で、今さら控訴審で新たな証拠を調べて、ということにはなりにくいでしょう(若干はあるかもしれませんが)。
そうすると、堀江被告人は「控訴審でも頑張る」と言っているようですが、東京高裁での控訴審は、弁護人が提出した控訴趣意書(控訴の理由をとりまとめたもの)を、高裁裁判官が、東京地裁から送付された証拠を見つつ検討し、原判決の当否を判断した結果、特に新たな証拠を取り調べることもなく、かなり早期に結審、判決に至るという可能性が高いように思います。被告人が頑張りようにも頑張る場面はほとんどない、ということになるかもしれません(弁護人は、控訴趣意書の作成など、かなり頑張る必要はありますが)。
判決書も具体的な証拠関係も見ていない立場で、軽々な判決予測はできませんが、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070317#1174061816

でコメントしたようなこの事件の「筋」、徹底的な否認事件であり情状面で被告人に有利な事情が出にくいといった事情等に照らすと、従来の方針を踏襲してこのまま控訴審、上告審と進んだ場合、懲役2年6月の実刑という判断が、裁判所によって最終的に是認される可能性は高いと言わざるを得ないでしょう(誤解のないように言っておきますが、そうなってほしい、と思っているわけではありません)。
上記のような堀江被告人の涙には、そういった自分自身の今後の厳しい状況に対する思いも込められているのかもしれない、という印象も受けました。