佐々木俊尚「電子書籍の衝撃」

電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)

電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)

かなり評判になっていて、読み掛けたまま読みきれずにいたのですが、出張に出た機会を利用して読みきりました。評判になるだけあり、おもしろい本でした。
私に限らず、電子書籍の便利さを感じ、今後、是非利用したいと思っている人は多いでしょう。そうであるにもかかわらず、日本で普及を阻もうとするものは、従来の、営々と築き上げられてきた出版業界の仕組みであるということが、読んで強く感じられました。屋台骨が腐っていて、いつ倒壊するかわからない建物であっても、その中にいれば、雨露しのげて衣食住も何とかなっている、ということであれば、あの川を渡った先に安心して住める建物があり頑張れば食べていける、ということが頭ではわかっていても、川を渡りたくない、温ぬくとした環境下で安住したいと考えてしまうものなのかもしれません。
しかし、今、川を渡らないと、建物は確実に倒壊する以上、川を渡るという決断を避けては通れない、出版業界はその瀬戸際に来ているのではないかと、読み終えて感じました。