「来たらすぐいる?」解明…“保護責任”へ一歩 押尾容疑者に逮捕状

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091205-00000569-san-soci

「誰が用意したかは、保護責任者遺棄を立証するうえで、実は重要なファクターだ」と元東京地検公安部長の若狭勝弁護士は指摘する。これは、急性アルコール中毒で倒れている人を無関係の人が素通りしても保護責任者遺棄に問われないが、酒を勧めた人間が立ち去ったら責任が生じることと同じ論理だからだ。
若狭弁護士は「今回の事件も同じことが言え、警視庁は押尾容疑者がMDMAを用意し、勧めたことを地道に立証しようとしている」と解説する。

保護責任者性が肯定されるかどうかが問題になる場合、「先行行為」ということが重視される傾向があります。平たく言えば、先行する行為で原因を作った者に保護義務が肯定されやすいということですね。例えば、自動車運転者が人身事故を起こし、重傷を負った人がいながら逃げる、という行為に及んだ場合、状況にもよりますが、人身事故を起こしたという先行行為故に保護義務が肯定され保護責任者遺棄(致死)罪が肯定される可能性が出てきます。
「お塩」事件の場合も、密室で2人だけの状態で違法薬物を共同使用し一方の体調が急変した、という状況だけでももう一方の保護義務は肯定されるのではないかと思われますが、先行行為に違法薬物の譲渡があれば、保護義務が、より強く、明確なものとして肯定されやすく、その意味で、単なる「別件」ではなく、目指す「本件」に密接に関連し、逮捕・勾留の必要性が強く肯定される余罪、という位置付けにはなるように思います。
捜査当局としては、目指す本件が、結果として立件にまでは至らなくても、譲渡事件を立件、起訴に持ち込むことだけでも、亡くなった女性の名誉を守る(日頃から薬物を常用し本件でも違法薬物を自ら用意していたという誤解を払拭する)ということで意味がある、ということも考えている可能性があるでしょう。