違法性認識…前次官の妻“おねだり女帝”立件も “身分なき共犯”として放置できない

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_11/t2007112201_all.html

「官僚トップの夫人として目に余る。このまま放置はできない。公務員でない者が犯罪に加担した場合に適用される『身分なき共犯』として立件すべきではないか」という意見があるという。

刑法の共犯規定の中に、

第65条
1 犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする。
2 身分によって特に刑の軽重があるときは、身分のない者には通常の刑を科する。

という規定があり、収賄罪のように、「公務員」という身分がある者のみが主体となり得る犯罪(身分犯)であっても、それに共犯として加担すれば、上記の規定により共犯とされます。共犯には、教唆犯、幇助犯だけでなく、共同正犯も含まれます。
身分犯にあっては、身分がない者は、自らが単独で犯罪の主体になることができなくても、身分がある者に加担し、その者とともに、あるいは、その者を通じてであれば、犯罪を実現することが可能であり可罰的である、ということで、このような規定になっている、というのが一般的な理解でしょう。
この種の犯罪で、時々、身分なき共犯として立件の対象になるのは、収賄公務員の周辺にいて相談にあずかったり賄賂の受け渡しに関与するような非公務員ですが、収賄公務員と夫婦関係にあり、一心同体となって、賄賂である「接待」にあずかっていた、ということになれば、収賄罪の共同正犯になる可能性は、確かにあるでしょう。
公務員に対する贈賄をカムフラージュするために、周辺の家族に狙いを定めて贈答、接待攻勢をかけるというのは、よくある手法であり、ライブドア事件村上ファンド事件に見られたような、検察庁お得意の「一罰百戒」という意味では、この記事にあるような立件も、意味があると言えるかもしれません。ただ、私は、この記事に登場する偉い学者の先生のように、証拠も見ていないのに「特捜部は捜査対象に組み込んでいくべきだ」と断言するほど大胆(別の日本語では「無謀」とも言いますが)ではないので、立件の可否等は、証拠に照らし慎重に検討してほしいと思います。