ポルノ画像リンクで「逮捕」 検索エンジンも危ない!

http://www.excite.co.jp/News/society/20070509204029/JCast_7471.html

リンクを張っただけで実際に起訴されるのは異例中の異例で、インターネット界を激震させる「非常事態」にまで発展しそうだ。

過去にも同種事例はあるので、「異例中の異例」というのは言い過ぎだと思いますが、インターネット利用者としては、気持ち悪く、居心地の悪さを感じるニュースではあります。
根本的な問題として、リンクを張る、という行為が、そもそも、リンク先で成立する犯罪の共犯(幇助犯)になるか(正犯は成立し得るが幇助犯は成立しない、という考え方もあります)、ということについて、私は以前から懐疑的ですが、それを論じ始めると非常に長くなりますので、その点はここでは措いておきます。
リンクを張る行為についても共犯(幇助犯)が成立することを前提にしても、共犯関係が成立するためには、

1 リンク先に犯罪が成立する(正犯の存在)
2 共犯者(幇助犯)も1について故意がある(認識し、認容している)
3 1及び2が存在した上で、リンクを張る行為に及ぶ(幇助行為の存在)

という要件がすべて満たされる必要があります。
児童ポルノ犯の場合、1について、疑いの余地なく成立する場合が多く、それに対応して、2も満たされる場合が多いでしょう。
これに対して、この記事でも取り上げられている名誉毀損の場合、1について、その成否が問題になることが多く、それだけ成否が微妙であり、2についても、名誉毀損は成立しない、あるいは疑いがある、という心理状態、ということは少なくないと思われますから、故意まで認定できるのが通常、とは言えないと思います。
また、2が欠けた状態で3に及んでいたところ、何らかの機会にリンク先が1のような内容である、ということがわかれば、速やかにリンクを張るのをやめることで、幇助犯に問われることを回避することはできますから、通常の認識力、理解力を持ちつつインターネットを利用している限り、それほど心配する必要はないように思います。
現実的に、この種の行為が幇助犯として刑事責任を問われる危険があるのは、過去の事例を見ても、言い逃れしようがない明らかなわいせつ犯罪、児童ポルノ犯、といったものであり、そういった犯罪とは無縁な人々が過剰に心配するのもどうか、という気がします。
したがって、記事にあるような「インターネット界を激震させる非常事態にまで発展しそうだ。」という捉え方は、過剰反応と言うべきでしょう。
検索エンジンも危ない」かどうかも、いわゆるロボット検索であるのが一般的で、人間が故意を持って行為に及ぶ、ということがそもそもなく、検索表示に何らかの問題があると「人が」具体的に認識すれば、その後に速やかに対応すれば良い、ということを考えれば、「危ない」かどうか(刑事責任を問われるかどうか、という点で)は、自ずと明らかです。
ただ、上記の「具体的に認識」した後の対応方法については、必要に応じ、専門家の意見を踏まえつつ進めたほうが無難です。