松井氏に使用禁止「極真館長」名乗るな

http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20060914-89710.html

大阪地裁の佐賀義史裁判長は判決で「正統な後継者が定められないまま分裂した場合、各団体は1分派として評価されるべきだ」と指摘。分裂後の1団体の代表者が、自らを正統な後継者と表示すれば「一般人の認識では、他の団体の代表者は異端者とされ、社会的評価を著しく低下させる」とし、人格権に基づく名誉権の侵害を認めた。その上で、松井氏に「極真会館館長」の名称を使うことを禁じ、「全日本極真連合会」代表の男性ら側に慰謝料300万円の支払いを命じた。
松井氏は、94年に極真会館創設者の大山氏が死去後、大山氏の遺言に基づくと主張し、館長に就任した。松井氏は選手時代、世界選手権で優勝した空手家だが、遺族側が遺言書の内容をめぐって松井氏側と係争。「遺言は無効」とする審判が下った。しかし、松井氏は「生前、大山氏に後継者として指名された」として「極真会館館長」を現在も務めている。

この種の紛争でよくあるのは、宗教団体等において分派が生じ、元の団体との間で紛争が生じる、というパターンではないかと思います。その場合は、一種の人格権である名称権、といったものが問題になることが多いのですが、本件の場合は、上記の通り、「正統な後継者が定められないまま分裂」してしまい、正当な後継者が決められない、という状態にあるようで(したがって、正当な名称権者が確定できない、ということになるでしょう)、そういう状況下での「正当な後継者」との表示が、他の団体に対する名誉毀損になる、と裁判所が判断したようです。比較的珍しいパターンの事件ではないか、という印象を受けました。
同種の紛争について、参考になる裁判例になる可能性があります。