松本被告:死刑確定 最高裁、特別抗告棄却を決定

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060915k0000e040099000c.html

特別抗告審では、東京地裁の死刑判決の是非ではなく、(1)訴訟能力の有無(2)弁護側の控訴趣意書の提出遅れに刑事訴訟規則で容認される「やむを得ない事情」があるか(3)提出遅れという弁護活動の不備による不利益を被告に負わせることの可否−−が争われた。
第3小法廷は(1)について、▽高裁の依頼で今年2月に提出された精神鑑定の結果▽1審判決当時の被告の発言内容▽拘置所での日常生活の様子−−などから、被告に訴訟能力があるとした高裁決定を「正当として是認できる」と述べた。
(2)については、弁護団が趣意書を作成しながら、高裁による再三の提出勧告に対し「精神鑑定の方法に問題がある」などとして提出しなかった経緯に言及。「やむを得ない事情があるとは到底認められない」としたうえ「弁護人が被告と意思疎通できないことは、提出遅延を正当化する理由にならない」と判断した。
(3)については「弁護人の行為による効果が、被告の不利益となる場合でも被告に及ぶことは法規の定めるところ」と指摘。「被告自ら弁護人と意思疎通を図ろうとしなかったことが、裁判を打ち切るような事態に至った大きな原因。責任は弁護人だけでなく被告にもある」と批判し「高裁決定を揺るがすような事情を見いだすことはできない」と結論付けた。

この件については、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060910#1157857990
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060530#1148979049
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060327#1143465631
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050831#1125484321
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050816#1124151481
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040703#p2

で、いろいろとコメントしてきました。
弁護人にも、いろいろな考えがあったと思いますし、軽々に批判するつもりもありませんが、こういう結果になってしまうと、弁護活動に何の問題もなかったのか、ということが、やはり厳しく問われざるを得ないでしょう。
3審制を採用する我が国の刑事裁判において、これだけの未曾有の大事件を起こしたとして裁かれ、1審で死刑判決を受けた被告人が、高裁、最高裁での実質的な検討を経ることがないまま、死刑判決を確定させてしまった、ということについて、問題を感じる人は少なくないと思います。
より迅速な裁判が可能ではなかったか、といったことも含め、今後、様々な議論が続いて行くでしょう。