新司法試験・刑事法論文問題を検討してみて(感想)

http://www.moj.go.jp/SHIKEN/SHINSHIHOU/shin02-13-06.pdf

この中の、第1問について、先日、非常勤講師をしている法科大学院で、学生の皆さんと一緒に検討してみました。第2問も、同様の方法で、近日中に検討したいと考えていますが、とりあえず、第1問を検討した感想を若干述べておきます。
まず言えると思ったのは、なかなか良い問題である、ということです。また、これを2時間で検討して答案を書くのは、結構大変だろうな、とも思いました。読むべき分量も多く、また、細かい事実関係も問題になるので、時間切れになった人も少なくなかったのではないか、と思いましたが、実際はどうだったのでしょうか。
中身については、ネタバレになるので敢えて触れませんが、出題されている事案は、実務上もよく見られるようなもので、ありふれているけれども、いろいろと問題があり、それらの問題点をきちんとクリアしないと事件処理ができない、という、理論面と実務面の双方に目配りがされた問題であると私は感じました。正に、「理想的な」法科大学院の教育による到達点が試されている、と言っても過言ではないでしょう。
理論面では、予備校教育の弊害として、よく語られる、判例や学説を丸暗記して答案上に吐き出す、といった手法では、かなり厳しい、それではちょっと通用しないだろう、というところが突かれていると思います。また、関係者の供述要旨を複数読んだ上で、自分なりに事実認定を行う必要もあって、物事を単に抽象的に考えるだけで終わってしまうような勉強法では、かなり厳しいでしょう。従来、司法研修所の前期の間に学んでいたような、事実認定の基礎的な手法も問われていて、その意味でも良問だと思いました。
法科大学院で、何をどのように勉強すべきか迷っているような人は、新司法試験の問題にあたってみて、何が求められているかをできるだけ具体的にイメージしてみると、今後の参考になると思います。