「保険金目的で死なせた」男性中毒死、民事で認定

http://www.asahi.com/national/update/0518/TKY200605170415.html

竹内裁判官は判決で、フィリピン人女性と元スナック経営者が愛人関係にあったとしたうえで、(1)女性側は自分が妊娠した子が建材会社員の子であると誤信させ、会社員が生命保険契約を結ぶよう働きかけた(2)元スナック経営者が建材会社員に胎児認知をさせ、保険の受取人になる不自然さをなくした(3)検出されたサリチル酸の濃度は死因になりうるもので、フィリピン人女性及び元スナック経営者が投与可能だった――と認定した。
その上で竹内裁判官は「(女性側が建材会社員を)急性サリチル酸中毒に罹患させて死亡させたと推認できる。被保険者の死亡が、死亡保険金受取人の故意で生じた時に該当し、(保険会社は)死亡保険金支払い義務を免責される」と断じた。

状況証拠としては、かなり「怪しい」と言えると思いますが、刑事事件としては、上記の「検出されたサリチル酸の濃度は死因になりうるもので、フィリピン人女性及び元スナック経営者が投与可能だった」から、「急性サリチル酸中毒に罹患させて死亡させたと推認できる。」への「推認」のハードルが、民事よりかなり高くなるでしょう。
警察が内偵しているようですが、現在に至るまで立件できていないのは、その点に関する証拠が刑事的には十分ではなく、慎重に見ているからではないかと思います。千葉地検にも内々に事件相談に行っている可能性もあるでしょう。
しかし、この民事判決を契機に、捜査機関が決断を迫られ、刑事でも事態が大きく動く可能性もあると思います。