携帯も行きつけの店もなし 川崎殺傷、難航する動機解明

携帯も行きつけの店もなし 川崎殺傷、難航する動機解明(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

捜査関係者は「今どきパソコンも携帯電話も持っていない。行きつけの店もない」と動機を解き明かす難しさを口にした上で、「容疑者が死亡しているので、裁判にならない。だが真相に近づくことで、再発防止につなげたい」と話す。

 被疑者、被告人が生存していても、犯行の動機について語らなかったり、不自然、不合理な供述をしたりして、真相解明が困難ということもあります。

私が若手検事の当時に、さる殺人事件の捜査を担当して、張り切って捜査したのですが、動機に関する被疑者の供述がかなり不自然、不合理なもので、しかし、まだ若かった私は被疑者供述に引きずられてしまい、高検へ報告に行った際、検事長や高検の部長、検事からそこをかなり厳しく指摘されて散々な目にあった(私が悪いのですが)ということがありました。それ以来、供述のみではなく、様々な状況証拠も活用した上での動機認定の必要性を意識して事件を見るようにしていました。

行為者が生きていても、それだけ難しいものですから、死亡してしまえば、動機解明はなかなか困難でしょうし、最近のテレビ番組で自称専門家が登場して、あれこれ憶測を述べるような動機認定をしても、それが何かの役に立つようには思えません。

客観的な証拠から推認されるものは何かを、限界を意識しながら認定し、どうすれば犯行が防げたのか、そのためには何をすべきで何ができたのか、といったことは、捜査よりも、むしろ、その分野の専門家が集まって、事実経過を踏まえた上で提言を出す、といったことに委ねるべきではないかと思います。