被告前科を証拠採用、高松地裁支部で30日判決

http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20160829-OYO1T50002.html

検察側は公判で、勝手口のガラスが割られて解錠されており、取っ手付近にガラス切りという道具が使われた痕跡があると説明。男の自宅からガラス切りが見つかり、ガラスの破損付近から検出されたDNA型は男と矛盾しないとした。
そのうえで、男にはガラス切りを使った窃盗の前科が3件あるとして判決文を証拠請求。「同様の手口による侵入盗は全国の窃盗事件の0・26%とごくまれで、犯人と推認される」とし、懲役4年を求刑した。
弁護側は判決文を証拠とすることに反対したが、同支部は検察側の請求通り採用した。
最高裁は2012年9月、放火事件の判決で、前科立証が認められるケースとして「前科の動機や手口に顕著な特徴があり、起訴事実と相当程度類似する場合で、前科と起訴事実の犯人が同じと推認できるとき」に限ると指摘した。

この問題については、以前、本ブログで

前科を証拠に使うには「明確な特徴」必要 最高裁初判断
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20120907#1347008622

とコメントしたことがあります。
ガラス切りの使用というのは、こういった侵入盗で使われがちな手法であり(記事にある0.26パーセントというのは低すぎる気がします)、「顕著な特徴」とまで言うのは難しそうで、最高裁判例に照らすと、同種前科から犯行を推認するのは難しそうな印象を受けます。仮に、0.26パーセントという数字を重視するとしても、1000人いればその中に2.6人いる、1万人いれば26人いるというレベルですから、やはり顕著な特徴というのは難しそうです。
ただ、裁判所としては、検察官の請求する証拠を採用の上で、それでは推認できませんよ、という判断を示したほうが、採用せずに(証拠を見ず、判断対象にせずに)済ますよりは手堅い判決を書ける面があって、そういう考え方に基づく証拠採用である可能性もあると思います。
いずれにしても判決が注目されます。