容疑者のDNA型登録 警察庁来月から

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20050818/eve_____sya_____000.shtml

容疑者の型情報は裁判所の令状などに基づいて採取し、原則として都道府県警の科学捜査研究所が鑑定。記録は警察庁に送られ、他の情報と照会して余罪の解明などに用いる。併せて身元不明の変死者の型情報も容疑者の記録と照合するが、登録はしない。

私自身は、こういった制度の必要性自体を認めるほうの立場ですが、上記の「裁判所の令状」という点について、現行刑事訴訟法の枠組みの中で、令状を出すのが適当かどうかは、今後、問題になってくると思います。
令状としては、身体検査令状や鑑定処分許可状ということになるものと思われますが、令状発付の起訴となる犯罪事実は、本来、当該被疑者・被告人について嫌疑のある犯罪であるはずです。
上記のスキームでは、「他の情報と照会して余罪の解明などに用いる」ためにDNAの型情報が採取されることになり、余罪捜査に主眼をおいた令状発付が恒常的に行われることは、本来、現行刑事訴訟法が想定しないところでしょう。
例えば、ある犯罪を犯し、現場で現行犯逮捕され、その犯罪については一貫して自白しているような被疑者について、令状によりDNAの型情報を採取するということになれば、その犯罪について立証は十分なのに、何の必要からそのようなことをするのか、という疑問が生じます。その場合に、「余罪捜査のため」ということになると、なぜ、上記の犯罪事実を基礎として、海のものとも山のものともわからない余罪のための令状発付の必要性があるか、当然疑問が生じますし、令状発付を肯定する理由を見出すことは極めて困難です。
刑事訴訟法では、

218
(1項略)
2 身体の拘束を受けている被疑者の指紋若しくは足型を採取し、身長若しくは体重を測定し、又は写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、前項の令状によることを要しない。

とされていますが、こういった制度の必要性を正面から認めるのであれば、DNAの型情報についても、上記の「指紋」「足型」に準じるものとして218条2項の中に含めるのが、本来の筋ではないかと思います。