送検せず「検挙」に計上 余罪捜査で警察庁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050215-00000101-kyodo-soci

窃盗などで、余罪が多いときに(中には数百件にのぼるものもあります)、自白以外の裏付けが取れるなどして送致、追送致を行い、一通り起訴した後(あるいは捜査の終結にあたり)、起訴までは難しいが被疑者が自白している、といった余罪について、送致までせず、「関係書類」といった形で、まとめて検察庁に書類が送られる、ということは、日常、よくあることです。
そういった余罪については、追起訴はせず、公判で、一種の情状(常習性など)として、送られてきた関係書類の中の、被告人の供述調書とか、余罪の状況を取りまとめた捜査報告書を証拠として請求することも、よくあります。

刑事訴訟法246条は「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、特別の定のある場合を除いて、速やかに事件を検察官に送致しなければならない」と定めており、不送致余罪はこの規定に触れると指摘する声もある。

私も、前から気にはなっていましたが、何もせず放置、ではなく、書類は検察庁に送る以上、実質的には「送致」と評価できるのかな、と思っていました。
ただ、厳密に言うと、送致そのものではないので、問題が全然ない、とは言えないでしょう。

追記1:

このニュース、指宿教授のブログ

http://imak.exblog.jp/1657977/

でも取り上げられており、より詳しい内容の報道

http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20050215&j=0022&k=200502156619

を見ることができましたが、それによると、

二○○○年十月二十四日付通達によると、不送致余罪事件は「いわゆる余罪事件のうち、所要の捜査を遂げたものの、捜査経済上その他やむを得ない理由により(検察官に事件を)送致または送付できなかったもの」と定義。
 検挙処理にあたっては《1》容疑者が自ら犯行を認める自筆の自供書面または供述調書《2》被害届または(未届の場合の)被害答申書《3》容疑者の犯行と認めるに至ったてん末および送致するに至らなかった理由の捜査報告書−の三点の要件を満たし「警察署長が決裁」することを定めている。

とのことで、犯人が検挙され自白していることが想定されており、やはり、私が紹介した「関係書類」で送る、というものが、これにあたると思います。
ただ、こういった「不送致余罪」の「すべて」が、関係書類という形で検察庁へ送られているかどうかは、何とも言えないですね。検察庁へ送らずに済ませているものが相当数ある可能性もあります。
警察は、被害届などで認知している事件について、犯人が検挙されたかどうかを重視しますが(「検挙率」をかなり重視するようです)、検察庁は、送致(送付)された事件について、どのような処理をするかに関心があるので、犯人が検挙され自白しているが、起訴は無理で検察庁へ送らずに済ませている、という事件(そういうものがあるとして)にまでは、なかなか目が届きません。

追記2:

追記1で引用したニュースでは、

検察官のチェックを経ない内部処理のため、適正手続きの担保はない。

と批判していますが、上記のような「関係書類」で検察庁に送るような場合は、担当検察官とも協議し、担当検察官も検討を行うのが普通です。その意味では、「チェック」は経るわけです。
警察としても、きちんと実態を明らかにした上で、誤解があれば説明し理解を求める、改めるべき点は改める、ということが必要ではないかと思います。