<薬害エイズ>高検が上告断念 被害者たちは絶望感

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050408-00000114-mai-soci

最高裁への期待がついえた絶望感は、全国に広がった。北海道の被害者の家族は、HIV訴訟弁護団の大井暁弁護士に「どうにもならないのか」と涙ながらに訴え、東日本の被害者男性は、「ショックで言葉もない」と声を詰まらせた。

平成8年に、私が東京地検公判部に在籍していた際、薬害エイズに関する事件が起訴されて、当初、私が立ち会っていた部に配点されたので(その後、別の部へ配点替えされましたが)、打ち合わせのため、起訴した主任検事の部屋に行ったことがありました。部屋の前には、折りたたみ式のベッド(通信販売などでよく売っているようなもの)が、折りたたんだ状態で置いてあり、その上に布団がかけてあって、連日、検察庁に泊まり込みで捜査にあたっていたことがよくわかりました。主任検事は、明らかに疲れて憔悴した感じで、私は、その前にもその後にも、あれほど疲れて憔悴した検事を見たことはありませんでした。
上記のような被害者の方々のお気持ちは、痛いほどよくわかりますが、刑事事件で有罪とされるためのハードルは高く、刑事責任が認定されなかったからと言って、その人の責任が何もなかった、というわけではないと思います。
この記事を読んでいて、あの時の、疲れて憔悴しきった主任検事の姿が思い出されました。

追記:

今回、元厚生省官僚に対する一審判決(一部無罪)について控訴棄却判決を出したのは、東京高裁第12刑事部ですが、あの部で無罪になる事件は、おそらく、世界中、どこの裁判所へ行っても無罪になるのではないか、というのが、東京高裁の国選事件を担当することが比較的多い私の、率直な感想です(別に、ほめているわけでも、批判しているわけでもありません)。