「妨害目的明らか」と検察 安田弁護士の控訴審

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007092801000609.html

安田被告は社長らと共謀、所有ビルの賃貸料収入が住宅金融専門会社住専)に差し押さえられるのを防ぐため、ビルを関連会社にまた貸ししたように仮装、1993−96年に賃貸料計約2億円を隠したとして起訴された。
2003年12月の東京地裁判決は「関係者の聴取に不当な誘導がうかがわれ、検察側立証には重大な問題がある」として無罪にした。

私は、この事件に、検事としても弁護士としても関与したことはなく、

特捜検察の闇 (文春文庫)

特捜検察の闇 (文春文庫)

で紹介されていたので読んだことがあるだけですが、いわゆる事件の「筋」で言うと、非常に筋の悪い、しかも、その筋の悪さが起訴前に十分解明されていない、捜査不十分の事件である、ということは間違いないと思います。
原審は、そこを厳しく問題にして無罪にしたわけですが、原判決後、既に4年近く経過しようとしているにもかかわらず、控訴審でも検察立証が行われ裁判所もそれを許容していることや、高裁(特に東京高裁)が、被告人・弁護人の控訴には冷淡、検察官控訴には手厚い、という傾向にあることを考えると、高裁判決には予断を許さないものがあるかもしれない、という気がします。
どのような結論になるとしても、この種事件について、今後の参考になる裁判例になることは間違いないでしょう。