勤務先からの退職について

私的なことですが、本ブログ自体が私的なものですから、この場を借りてお知らせをさせていただきます。
平成12年(2000年)9月1日以降、ヤフー株式会社法務部で勤務してきましたが(当初は常勤、途中から非常勤)、3月31日をもって退職することになりました。昨日、最終出社し、退職の手続もすべて終了しました。
在職中は、主として、各種サービスの悪用案件(いわゆるabuse)に対する対応全般を担当してきましたが、途中から非常勤になったとはいえ、勤務期間が自分自身の当初の予想を超えて6年7か月に及び、その間、様々な方々、組織との関係が生じました。本来であれば、個別にご挨拶すべきところですが、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
今後は、運営するイージス法律事務所の業務に専念し、地道かつ堅実に活動して行きたいと考えています。引き続きよろしくお願い申し上げます。事務所の連絡先等については、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/about

の通りで、変わりません。
本ブログは、私自身の純然たる個人的な日記として継続してきましたが、そのような性格は、今後も変わりません。本ブログにつきましても、引き続きよろしくお願い申し上げます。

第4の携帯電話会社、イー・モバイルの強みと弱み

http://headlines.yahoo.co.jp/column/bp/detail/20070328-00000000-nkbp-bus_all.html
http://headlines.yahoo.co.jp/column/bp/detail/20070328-00000001-nkbp-bus_all.html
http://headlines.yahoo.co.jp/column/bp/detail/20070328-00000002-nkbp-bus_all.html
http://headlines.yahoo.co.jp/column/bp/detail/20070328-00000003-nkbp-bus_all.html

データ通信の定額、使い放題に惹かれて、サービス開始の当初から利用したいと考えていますが、どこまで使えるのか、未知数の点は多々ありますね。
とは言え、新しいサービスを利用するのは、楽しみでもあります。
使ってみた感想は、本ブログでもコメントしたいと思っています。

野球ゲーム肖像権巡る控訴審、古田・前選手会長が証言

http://www.yomiuri.co.jp/sports/npb/news/20070327ie31.htm

古田監督は、選手の肖像権が統一契約書で「すべて球団に属し、宣伝目的のためいかなる方法でも利用できる」と規定されていることについて、契約更改の席で、この契約書にサインするだけで、自身には渡されないため、選手会長となる1998年ごろまで、肖像権の管理を球団側に委ねているという意識はなかったと証言。
統一契約書の規定は「各球団の宣伝に関したものだけであって、複数球団にまたがる場合やグッズなどの商品化については、選手会で自主管理すべき」と語った。

記事を見る限りのことしかわかりませんが、一身専属権であるはずの肖像権(パブリシティ権の側面では相続可能性が問題になってはいますが)が、球団に「属する」というのは、奇妙な印象を受けます。
「宣伝目的」を厳密に解すれば、古田監督が指摘するような解釈も成り立ち得ますが、契約当事者の実質的な意思や実際の運用(記事によると、慣行的に球団が全面的に管理して収益の一部を選手が取得する、ということもあったようです)等にもよるので、文言だけでは決められないように思います。
入団の際に、選手にもよりますが多額の契約金が支払われ、これを、上記のような肖像権独占使用の対価と見るかどうか、という問題もあるのではないかと思われますが、いずれにしても、球団、選手の双方が納得できるような合理的なルール作りが必要ではないか、従来は球団側が一方的に有利な側面が強かったのではないか、という印象を受けます。

「押しつけ的天下り」認める答弁書 事務次官数人が反対

http://www.asahi.com/politics/update/0328/010.html

答弁書江田憲司衆院議員の質問主意書に対するもので、「再就職あっせん」について「国民の目から見て、押し付け的なものも含まれている」と明記した。省庁側は「押しつけ的あっせんはない」との立場をとってきたが、首相が1月の施政方針演説で「押しつけ的あっせんを根絶する」と約束したため、答弁書で従来の立場を事実上修正した。

押しつけなくても引く手あまた、という人材もいないわけではありませんが、それはごく一部であり、大多数は、役所側が、生活保障の観点から、再就職先を確保し斡旋しているのが実態で、依頼されたほうも、断ればどんな不利益、嫌がらせがあるかもしれず、「押しつけ」と感じつつも受け入れているというのが実態でしょう(それにとどまらず、受け入れるなら「おみやげ」付きで、ということになってしまっているのが、公共工事等における官民の関係で、そこが、今、厳しく切り込まれています)。
表面的に見れば、「優秀な人材をご紹介いただき、ありがとうございます」ということになっていても、実際はどうか、ということは、本人を含め、皆、知っていますから、「押しつけていない」といくら強弁しようとしても説得力はありません(上記のように「おみやげ」付きならば、押しつけにはならないものの、別の深刻な問題が生じます)。
この問題は、公務員のキャリアを、現在のように、終身雇用型、(特にキャリア官僚の場合)終身と言いつつも定年前に徐々に退職して民間に再就職するという形態で今後も維持するか、公務員制度の在り方という、根源的な問題を含んでおり、一筋縄では行かないものがあります。

乗客「のぞみ」止める 乗り間違え、非常用コック引く

http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070328/jkn070328019.htm

男性は「福岡に行くつもりだったが、乗り間違えたので降りようとした」と話しているという。

この乗客は京都から乗ったようですが、走行中の新幹線を止めて降りた後、どうするつもりだったのでしょうか。下りの新幹線も止めて乗せてもらう、ということができるはずもなく、とりあえず名古屋までは行って、そこで下りに乗り換える、ということしか方法はなかったと思いますが。
ちなみに、新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法では、

(運行保安設備の損壊等の罪)
第2条
1 新幹線鉄道の用に供する自動列車制御設備、列車集中制御設備その他の国土交通省令で定める列車の運行の安全を確保するための設備を損壊し、その他これらの設備の機能を損なう行為をした者は、5年以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
2 前項の設備をみだりに繰作した者は、1年以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
3 第1項の設備を損傷し、その他同項の設備の機能をそこなうおそれのある行為をした者は、5万円以下の罰金に処する。

とされていて、上記の行為は、2条2項に該当する可能性があるのではないか、と思われます。

「事実上無罪」発言を訂正 ヤマハ発動機の株主総会で

http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2007032701000783.html

ヤマハ発動機は27日午後、梶川隆社長が同日午前の定時株主総会で「起訴猶予は事実上、不起訴で無罪」と発言したことについて、誤解を招く恐れがあるとして、発言を訂正する異例の対応をとった。
同社広報部は、株主に分かりやすい発言としながらも、一部誤解を招く恐れがあるとして、「起訴猶予は罪に問われる前の段階」と報道機関に発言の訂正を伝えた。

以前、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070127#1169824952

でコメントしたように、「嫌疑不十分的起訴猶予」というものは存在するので、上記のような当初の社長発言が、完全に間違っているとまでは言い切れないものがあるでしょう。
しかし、起訴されれば有罪になった可能性もあり、種々の情状も酌んでもらった上での起訴猶予処分であったものと推測されますから、処分後に、一転して「無罪を勝ち取った」かのように言うのは(それも株主総会という場で)、ちょっと見識に欠けた社長だな、という印象を受けます(だからこそ、上記のような訂正が行われたのでしょう)。
こういう社長がいるので、こういう事件が起きるのかもしれません、と言うと怒られそうなので、それは言わないでおきます。

携帯電話:航空機内の使用で異常、05年に48件

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070329k0000m040060000c.html

国交省によると、これまでに報告された障害の約半数は操縦室のモニター異常だが、01年9月には高度約3000メートルで上昇中に機体が突然右に25度傾くトラブルが発生。03年2月には、空中待機中の航空機が、高度を約120メートル逸脱するなど運航に影響が出た例もあった。いずれも乗客が携帯電話の使用をやめると正常な状態になった。

この種の行為が、いかに危険かということがよくわかります。25度傾いた、ということになると、旅客機としては相当な傾きであったと推測され、乗客もかなり驚いたことでしょう。
特に危険な行為については、そういった行為に及ぶことを禁じるだけでなく、罰則(直罰)をもって臨む、ということも検討する必要があるのではないかと思います。

強制わいせつ未遂被告に逆転無罪 大阪高裁

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200703280053.html

3月は、裁判官の異動前、ということもあって判決が多い月ですが、やはり、無罪判決も目立ちますね。

男性は05年11月30日夜、大阪府寝屋川市京阪本線萱島駅構内の女性用トイレに入り、当時19歳の女性の腕をつかんだり、口づけしようとしたりしたとして、建造物侵入と強制わいせつ未遂の両罪で起訴された。
陶山裁判長は、当時かなりの量の酒を飲んでいた男性について、「15〜20センチの距離に顔を近づけてきた」と証言した女性が酒のにおいに気付いていないと指摘。「無理にキスをされようとしたとする被害者の証言の信用性には疑いがある」と結論づけた。

被告人の男性が女性トイレ内にいたことは認定されたように読み取れますが、では建造物侵入罪はどうなったのだろうか?という疑問が残ります。かなりの量の酒を飲んでいた、という認定ですから、間違って入ってしまった、故意がない、といった認定がされたのでしょうか。
目撃者がいない、被告人と被害者の供述が1対1で対立する事件であったと推測され、その種の事件における被害者供述の信用性の確保、ということを考えさせる事件だと思います。

起訴42回で時効完成阻止 地検、脱税で逃亡の男逮捕


http://kumanichi.com/news/kyodo/index.cfm?id=20070327000472&cid=social

96年9月に関東信越国税局が刑事告発。97年春ごろに会社が破産し、その後行方が分からなくなった。
刑事訴訟法の規定では、起訴で時効進行はいったん停止する。

時効(5年)完成を防ぐため99年3月、所在不明のまま脱税の罪で起訴。起訴状を届けることができないため、裁判所が公訴棄却を決定すると再び起訴することを繰り返していた。

上記のような方法によって時効成立を阻止する、ということは知られていますが、起訴するに足りるだけの証拠が確保されている必要があり、実際に行われているケースは、それほど多くないと思います。
珍しいケースと言えるでしょう。

ネット詐欺防止へ「カフェ」からの接続規制提言

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070329-00000002-yom-soci

ネットカフェを巡っては、犯罪に悪用されても利用者が特定できない匿名性が問題になっており、警察庁は、運営会社やカフェの加盟団体やなどに導入を要請する。

この種の悪用事例は多く、提言自体はそれなりに理解できますが、実効性や利便性の点で疑問が残ります。「規制」するためには、運営者が、ネットカフェ側のIPアドレスを網羅的に把握しておく必要があるはずですが、そういった規制を嫌がるネットカフェもあるはずで、水が低きに流れるように、悪も規制逃れのネットカフェに流れる可能性が高いでしょう。日々、新たなネットカフェが開業もしているはずで、網羅的な把握はかなり困難と推測されます。各種サービスの登録メールアドレスにおけるフリーメールの排除、ということが以前から言われながら、結局、実現できていないことと似た問題状況があります。
また、利用者の利便性が大幅に低下する、ということも見逃せないでしょう。警察や警察御用達の学者などは、「悪用」事例しか目に入っていませんが、ネットカフェを便利に使用し、悪用とは無縁な人々も多く(むしろ、そういった人々がほとんどでしょう)、上記のような措置が講じられれば、PCや携帯情報端末を持たずに外出した人が、オークションサービスを利用できなくなってしまいます。そういった不便さも、無視できないでしょう。
ネットカフェからの利用を排除しても、他の種々の手段による悪用が可能な現状では、導入には大きな疑問が残ります。
匿名性が完全に排除され、日本中に防犯カメラ、Nシステム、情報提供者等が網の目のように配置されて、警察が国民の行動を完全に監視下に置いた上、怪しいとにらんだ人や組織は、「共謀罪」等をフルに活用(実際は「悪用」ですが)して未然に検挙し(間違っていれば鹿児島県警等のように謝って終わりにする)、国民が息を潜めて暮らす、という、重くて暗く「寒い」社会は、音を立てることもなく確実に迫ってきているのかもしれません。