ネット詐欺防止へ「カフェ」からの接続規制提言

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070329-00000002-yom-soci

ネットカフェを巡っては、犯罪に悪用されても利用者が特定できない匿名性が問題になっており、警察庁は、運営会社やカフェの加盟団体やなどに導入を要請する。

この種の悪用事例は多く、提言自体はそれなりに理解できますが、実効性や利便性の点で疑問が残ります。「規制」するためには、運営者が、ネットカフェ側のIPアドレスを網羅的に把握しておく必要があるはずですが、そういった規制を嫌がるネットカフェもあるはずで、水が低きに流れるように、悪も規制逃れのネットカフェに流れる可能性が高いでしょう。日々、新たなネットカフェが開業もしているはずで、網羅的な把握はかなり困難と推測されます。各種サービスの登録メールアドレスにおけるフリーメールの排除、ということが以前から言われながら、結局、実現できていないことと似た問題状況があります。
また、利用者の利便性が大幅に低下する、ということも見逃せないでしょう。警察や警察御用達の学者などは、「悪用」事例しか目に入っていませんが、ネットカフェを便利に使用し、悪用とは無縁な人々も多く(むしろ、そういった人々がほとんどでしょう)、上記のような措置が講じられれば、PCや携帯情報端末を持たずに外出した人が、オークションサービスを利用できなくなってしまいます。そういった不便さも、無視できないでしょう。
ネットカフェからの利用を排除しても、他の種々の手段による悪用が可能な現状では、導入には大きな疑問が残ります。
匿名性が完全に排除され、日本中に防犯カメラ、Nシステム、情報提供者等が網の目のように配置されて、警察が国民の行動を完全に監視下に置いた上、怪しいとにらんだ人や組織は、「共謀罪」等をフルに活用(実際は「悪用」ですが)して未然に検挙し(間違っていれば鹿児島県警等のように謝って終わりにする)、国民が息を潜めて暮らす、という、重くて暗く「寒い」社会は、音を立てることもなく確実に迫ってきているのかもしれません。