香田さん殺害、ネットで犯行声明 ビデオ映像流す

http://www.asahi.com/international/update/1102/010.html

 「日本政府に48時間の猶予を与えたが、その期限は過ぎたので、この異教徒の首を切断する」と声明を読み上げ、これまでに首を切断された米英人の名前を挙げながら、香田さんも「これら異教徒の仲間に入る」と言い、押し倒して殺害した。

殺害の様子を、インターネットで流れている動画で見ましたが、解剖立会などで、ある程度仕事で死体を見た経験のある私でも、二度と見たくない、という内容でした。
人間の善意とか、人間性といったことが通用しない人間が世界には大勢いる、ということを肝に銘じて、安易にイラクへは行くべきではないでしょう。どうしても行く必要があれば、できる限りの安全対策を講じ、日本人丸出しで半ズボン状態で街をさまようようなことは絶対に避けるべきでしょう。

優太ちゃん救出の消防援助隊、過去最多1877人動員

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041103-00000102-yom-soci

今回、援助隊の存在感を見せつけたのは、10月27日に長岡市の土砂崩れ現場で行われた皆川優太ちゃん(2)の救出劇だった。
 前日午後に優太ちゃんがいるワゴン車が発見された時、現場は岩石が崩れかねない不安定な地盤だった。そこで、消防庁は最新の装備と訓練を積んだ東京消防庁の「ハイパー・レスキュー隊」に出動を要請し、4日ぶりの救出に成功した。

あの状態での救出は、相当な訓練と装備がなければ無理だったと思います。大規模災害以外にも、ハイパーレスキューが必要な場合はあり得るので、東京以外の、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡に、ハイパーレスキューをおくのが良いと思います。

「文部科学省から見た法科大学院制度」の感想など

ブログ「弁護士への道」

http://blog.livedoor.jp/datusara/

の11月3日で、上記のテーマで論じられているのを読んだ。過去に明らかになった意見に基づいて適切な分析が加えられており、非常に参考になる内容なので、興味がある方は是非読んでいただきたい。
文部科学省関係者から、ここまで具体的に「警告」されていたにもかかわらず、安易に法科大学院を設置して参入し、開校前には受験生に対してバラ色の幻想を振りまいておいて、開校後は貧弱な教育しか提供することができず、学生を不安のどん底に陥れている法科大学院(中には優れたものもあるとは思うが)の罪は極めて重い。
いずれ、そういった法科大学院に対しては、学生(元学生)による集団訴訟などが起きて、徹底的に責任を追及されるといった事態も十分ありうるのではないかと思う。学生すら集められず、何の展望も持てなくなって廃校に追い込まれても(既に受験生が激減しているところもあるようだが)、廃校によって過去の責任が免責されるわけではないということを、今から覚悟しておくべきであろう。
現在の私の考え方をまとめると、既にある程度述べているように

1 中身が粗末なロースクールは、速やかに学生募集を停止し、在学生がすべて卒業した時点で廃止するという方向で進め、そういったロースクールは、法曹以外の道へ進む法学部として可能な範囲内で改編・存続させる
2 他のロースクールは、同系列の法学部と合体させ、「大法学部」(?)化し、法学部には、法曹以外の道へ進む学生に対する法学教育と、法曹の道へ進む学生に対する法曹教育の、双方の機能を持たせて、両機能の垣根を高くせず、往来を弾力的に認める(そうすることで、進路変更がしやすくなるし、「三振法務博士」の大量出現といった問題を極力回避できる)
3 中身の優れたロースクールは、2とは別に、「新ロースクール」(?)として改編・存続させ、司法研修所での教育の後の、高度な法曹教育や法曹に対する生涯教育の場として活用する
4 2010年までの新司法試験については、現行のロースクール生をできるだけ法曹として生かすという観点から、合格者数を、現行司法試験に比し、傾斜して配分する(但し、「質」の確保という観点から、択一試験は新・現行司法試験共通とし、新司法試験受験者は、現行司法試験受験者の合格最低点を「目途に」、それをクリアしていることを求める)
5 ロースクールを卒業して司法試験に合格しなかった人の進路については、公証人、政策秘書、公務員などの受験で、配慮できる制度を検討するともに、英国のソリシタを念頭においた準弁護士(弁護士補)資格創設も検討する(そういった検討結果は、上記の「大法学部」法曹コース修了者にも適用する)

ということになる。

「はてなダイアリー」の粗末なプライバシーポリシー

http://www.hatena.ne.jp/tools/041102_privacy_policy.pdf

誰が作ったのかわからないが、出来が悪いと思う。
情報開示の部分(3 個人情報の取得・分析及び開示)は、特にひどい。「3の3」で、「当社のサービスを向上させることを目的とする場合」が挙げられているが、こういった曖昧な「目的」で個人情報の開示が行われるのであれば、プライバシーポリシーを定めること自体が無意味になりかねない。これで情報開示ができるということになれば、「はてな」が主観的に必要と認めれば(「サービス向上のため」と言えば、何でも言えてしまう)、誰に対しても何でも開示できることになってしまいかねない。
例えば、ヤフージャパンのプライバシーポリシー

http://privacy.yahoo.co.jp/privacy/jp/

を見ると、情報開示については、

「情報の共有と開示」

Yahoo! JAPANは、個人情報を販売したり貸し出すことはいたしません。
以下の場合に、Yahoo! JAPANは個人情報を開示することがあります。
1 情報開示や共有についてユーザーの同意がある場合
2 ユーザーが希望する製品やサービスを提供するために、情報の開示や共有が必要と認められる場合
3ユーザーに製品やサービスを提供する目的で、Yahoo! JAPANからの委託を受けて業務を行う会社が情報を必要とする場合。(Yahoo! JAPANがユーザーに特にお知らせした場合を除いて、こうした会社は、Yahoo! JAPANが提供した個人情報を上記目的のために必要な限度を超えて利用することはできません。)
4 裁判所や警察等の公的機関から、法律に基づく正式な照会を受けた場合
5 Yahoo! JAPANのサイト上でのユーザーの行為が、利用規約ガイドライン等に反し、Yahoo! JAPANの権利、財産やサービス等を保護するため、必要と認められる場合
6 人の生命、身体および財産等に対する差し迫った危険があり、緊急の必要性がある場合

となっており、3のように、サービス提供関係での情報開示については、相手先を明確にし、かつ、利用の限度も明確にしている。2でも、「ユーザが希望」「必要」という縛りがかかっており、制限的であることが容易に見て取れる。
はてな」のプライバシーポリシーは、このままでは、個人情報保護法が要請しているレベルをクリアすることも難しい。個人情報保護に疎い素人とか、不勉強な弁護士が作ったのではないか?こういった欠陥のあるプライバシーポリシーは、早急に改めるべきである。

「はてな」代表取締役の珍妙な弁明

いろいろと騒ぎになっているようであるが、

http://d.hatena.ne.jp/jkondo/20041102

を読んで、なぜ、このような話になるのか理解できなかった。
近藤氏は、

皆さんの日記の内容を含め、はてな内の情報について、名誉毀損やプライバシー侵害、著作権侵害等によって削除を求める場合には、このガイドラインに沿った申立をお願いしています。この際、第三者はてな内の情報削除を求める場合、削除申立者には「どなたからの申立なのか」を把握するため住所や氏名の開示をお願いしています。
しかし、肝心の情報発信者の登録情報が仮名と思われる内容であったりした場合、そのユーザー様が実際にどなたかなのかが分からず、はてなとしては十分に情報発信者の権利を守ることができない場合があります。つまり、ユーザー登録に必要な情報と、削除申立を行うために必要な情報の不均衡がこれまで起きておりました。

などと述べているが、権利侵害を理由に申立を行う者が、「どこのだれの」権利かを明確にするのは、申立の性質から本質的に要請されるものであろう。
「私がどこの誰かであるかは言えませんが、私の権利が侵害されています。」と言われても、言われたほうは、真の権利者からの正当な申告かどうか確認できないし、確認できない以上、利用規約等に照らして独自に動くことはできても、「権利侵害申告」に基づいた動きは取りようがない。
それに対して、権利侵害を行っているとされている者について、「どこのだれか」がわかっている必要は、そのような権利侵害状態を解消させるためであれば、存在しない。「はてな」にしてみれば、情報発信者と連絡さえつけば(メールで十分可能である)、権利侵害性に関する意見聴取等が十分可能であり、プロバイダ責任制限法上も、意見聴取に対して一定期間に意見が戻ってこなければ、それだけで情報削除を可能にする条項もある。それでも不安なら、メールで連絡がつかない場合は登録を抹消することがあるということを、利用規約に入れておけば十分だろう。そのような経過の中で、権利侵害性が明らかな情報が削除されないのであれば、「はてな」がその権限を行使して、削除等の措置を講じれば良い。プロバイダ責任制限法に従って事を進める限り、「はてな」は保護されるし、やるべきことをやっていれば、何も心配ないのであって、そういった過程において、情報発信者が「どこのだれか」は、何ら把握している必要などない。
近藤氏のような論理(というか論理になっていないが)では、「匿名掲示板」といったものは、存在自体が不可能になるし、プロバイダ責任制限法が、個人の氏名、住所等を持ち合わせていない場合があることを当然の前提にして、総務省令の中で、開示情報にIPアドレスやタイムスタンプを明示している意味も没却してしまいかねない。
はてな」が利用者相手に訴訟でもしたいのなら、名前や住所を登録させる意味もあるが、権利侵害の申立に対応するために、というのは、何の理由にもならない。こういうことを、平気でブログに書くようでは、「はてな」の今後は非常に不安であるし、不安に思うユーザーが多数存在するのも当然である。
上記のような、何の理由にもならない「理由」に基づくものであれば、今回の措置(情報登録)は、速やかに撤回すべきである。

「はてな」情報登録の真の意図は何か?

下記のとおり、現在、表面上挙げられている理由が、何の理由にもならないことは明らかである。
それでは、なぜ、このような措置が講じられようとしているのか?選択肢は2つある。
1 「はてな」が愚かで、不要な情報を求めようとしている。
2 隠れた真の意図がある。
1である可能性も否定できないが、個人が趣味でやっているサイトでもないし、1とは考えにくい。とすると、2である。それでは、隠れた真の目的とは何か?それは「収益向上」しかない。
個人情報を取得し、あの粗末なプライバシーポリシーを適用すれば、
1 今後、利用者に課金を行おうとする場合、便利である
2 「お知らせ」などと称して、利用者に郵便物を郵送し、その中に宣伝パンフレットなども同封すれば、収益アップを図ることができる
3 膨大な個人情報を持つことになり、それを譲渡、貸し出しすることにより、さらに収益アップを図ることができる
といったあたりを狙っているのではないか。
ただ、そこには致命的な欠陥がある。今回の措置にあたって、明示されている「利用目的」は、「権利侵害申告に対し適切に対応するため」である。ということは、来年施行の個人情報保護法に照らしても、個人情報の「目的外利用」は厳しく制限されるから、上記のような、はてなにとって、おもしろおかしい流れに持ち込むのは極めて困難である。
そして、取得した個人情報の大部分(メールアドレス以外)は、下記のとおり、権利侵害申告に対応する上では「過剰かつ不要」な情報である。更に言えば、登録された情報は、あくまで自己申告によるものであり、認証を経ていないので、真偽不明な詳細登録情報を、膨大に持つことになってしまうのである。
真偽不明であるからと言って、「個人情報」をいい加減に取り扱うわけには行かないので、「はてな」は、極めて厳格な個人情報管理体制を確立する必要に迫られる。当然、手間暇もお金もかかることになる。個人情報が万が一漏えいでもすれば、厳しく責任を問われる。
今回の措置は、そこまで考え抜いてのものとは到底思われないし、少し考えれば、馬鹿げたことであることは容易にわかる、その程度のものなのである。
結局、「はてな」の主観的な狙いは無意味なものとなり、客観的には、冒頭に挙げた1としか評価できない、ということに帰着する。

追記

http://www.hatena.ne.jp/info/address

によると、

2005年1月1日
住所をご登録頂いていないユーザー様には、登録情報変更ページにて住所をご登録いただくまで、はてなをご利用頂けなくなります
住所登録を行っていただいたユーザー様のうち、ランダムに抽出を行った150名様に「はてなポイント付き住所確認はがき」を発送させて頂きます。該当ユーザー様には、メールでご連絡もいたします
はてなポイント付き住所確認はがき」をお送りした方には、300ポイントをプレゼントいたします。はがきに記載されたシリアルナンバーを専用ページで入力していただくと、ご利用アカウントに300ポイントが追加されます。
2005年1月15日
はてなポイント付き住所確認はがき」を発送したものの、所定の手続きでポイント獲得処理を行って頂けなかったユーザー様は、一時的にはてなをご利用頂けなくなります
はがきを無くした、住所変更を忘れていた、等の理由で利用停止となったユーザー様は、info@hatena.ne.jp まで住所変更申請を行っていただきます

とあるが、そのまま読むと、ランダムに抽出した150名について、事後の郵送による本人確認措置を行うということになる。それにより、正しい住所等が入力されているかを検証し、不十分であれば、全面的な郵送による本人確認を措置を講じるつもりなのか?よくわからないが、無用な混乱を引き起こすだけの結果になるのは目に見えている。

裁判例の読み方を完全に間違っている「はてな」

http://d.hatena.ne.jp/hatenadiary/20041103#1099458855

の、「ユーザー登録情報の利用目的、プライバシーポリシーについて」で、

この判断を行う際、「ファイルローグ」裁判*1の判決なども参考にしております。この判決では、サービス提供者が著作権侵害行為が想像できたにもかかわらず、利用者の確認を怠ったとされております。
残念ながら、はてな内でも著作権侵害情報など他人の権利を侵害する情報が増加しており、企業として、法律に基づき今後もサービスを提供し続けるには、ユーザーの皆さんに住所と正確な情報の登録をお願いするしかないと判断いたしました。

という一節がある。
こんなところで、ファイルローグ事件の裁判例が出てくるとは思っておらず、正直言って驚いたが、こういう間違った読み方をしている人もいることがわかったという意味では、参考になった面がある。
プロバイダ責任制限法に関して、総務省の立法担当者が執筆した解説書にも書いてあることだが、インターネット上における情報の流通も、広い意味での「通信」であり(不特定多数に向けられているという意味で「開かれた通信」「公然性のある通信」と呼ばれることもある)、通信事業者には、法令上の義務(通信の秘密を守る義務、検閲禁止など)が課せられている一方、そういった通信について一般的、網羅的に権利侵害等の有無を調査する義務はないということが、広く承認されている。もちろん、情報発信者の身元確認を行う義務もない。
プロバイダ責任制限法も、そういった前提で立法されており、プロバイダ等の法的責任が生じうるのは、違法情報を具体的に認識するか、具体的に認識できる状態になった後のことである。
ファイルローグ事件の裁判例(まだ高裁で審理中であり確定すらしていないが)については、小倉先生に解説していただくのが適切であり、私ごときが語るべきではないと思うが、「情報」に対する関わり方が、ファイルローグの運営者と、「はてな」のようなサイトの運営者では、全く異なっており、ファイルローグ事件の裁判例(一審判決に過ぎないが)から、一般的に、サイト運営者のような立場の者に違法情報流通阻止義務が生じたとか、情報発信者の身元確認義務が課せられた、などという理解は、少なくとも、まともな法律家はしていないし、そのような理解は、上記の裁判例の射程距離を完全に逸脱した誤解である。
はてな」が、ファイルローグ事件の裁判例をこのように曲解した上で、今回の措置を講じたということになると、他の多数のプロバイダ等に対しても「誤解」が広まる危険性が高く、極めて由々しき問題と言うべきであるし、法令や判例等を真面目に勉強しつつ利用者の表現の自由や各種権利の保護との狭間で日夜努力しているプロバイダ等の関係者に対して非礼とも言える。
誰から何を聞いて、このような誤解をしているかは不明であるが(こういうアドバイスをした弁護士がいるとすれば、よほど勉強していないか、極めて独自性が強く普遍性のない誤った考え方に捕らわれているか、間違っていることがわかった上でアドバイスして「はてな」を徹底的に混乱させて壊滅させようとしているかの、いずれかであろう)、すべてを白紙に戻し、法令や裁判例に関する「正しい理解」を、まず行った上で、利用規約やプライバシーポリシーの改訂とか、利用者からどのような情報をどこまで求めるか、といったことを決めないと、このままでは恥の上塗りを続け満天下の物笑いの対象になるだけであり、日本のインターネット史上、永遠に残る汚点となりかねない。
ロースクールで学んでいる皆さん(現行司法試験合格を目指している皆さんも)は、判例、裁判例というものを、このように間違って理解しているようでは、いくら寝食の暇もなく勉強していても、絶対に司法試験には合格できないので、くれぐれも注意していただきたい。

「はてな」問題とインターネットにおける「匿名性」について

私は、以前、このブログで、

「インターネットにおける匿名性について」
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040814

と論じたことがある。今でも、この考え方に変化はない。「はてな」が放言しているような間違った理解は論外であるが、ブログのような場で物を言う人には住所氏名などを正確に登録させ、匿名性を制限することにより責任のある情報発信を求める、という考え方はあり得る(私は、匿名性をもっと尊重すべきだと考えているが)。
しかし、それならそれで、利用者に対し正確な説明をすべきであり、私が既に指摘しているような、理由にもならない理由とか、間違った裁判例の読み方を持ち出して利用者を混乱させるような方法は間違っていると思う。