「文部科学省から見た法科大学院制度」の感想など

ブログ「弁護士への道」

http://blog.livedoor.jp/datusara/

の11月3日で、上記のテーマで論じられているのを読んだ。過去に明らかになった意見に基づいて適切な分析が加えられており、非常に参考になる内容なので、興味がある方は是非読んでいただきたい。
文部科学省関係者から、ここまで具体的に「警告」されていたにもかかわらず、安易に法科大学院を設置して参入し、開校前には受験生に対してバラ色の幻想を振りまいておいて、開校後は貧弱な教育しか提供することができず、学生を不安のどん底に陥れている法科大学院(中には優れたものもあるとは思うが)の罪は極めて重い。
いずれ、そういった法科大学院に対しては、学生(元学生)による集団訴訟などが起きて、徹底的に責任を追及されるといった事態も十分ありうるのではないかと思う。学生すら集められず、何の展望も持てなくなって廃校に追い込まれても(既に受験生が激減しているところもあるようだが)、廃校によって過去の責任が免責されるわけではないということを、今から覚悟しておくべきであろう。
現在の私の考え方をまとめると、既にある程度述べているように

1 中身が粗末なロースクールは、速やかに学生募集を停止し、在学生がすべて卒業した時点で廃止するという方向で進め、そういったロースクールは、法曹以外の道へ進む法学部として可能な範囲内で改編・存続させる
2 他のロースクールは、同系列の法学部と合体させ、「大法学部」(?)化し、法学部には、法曹以外の道へ進む学生に対する法学教育と、法曹の道へ進む学生に対する法曹教育の、双方の機能を持たせて、両機能の垣根を高くせず、往来を弾力的に認める(そうすることで、進路変更がしやすくなるし、「三振法務博士」の大量出現といった問題を極力回避できる)
3 中身の優れたロースクールは、2とは別に、「新ロースクール」(?)として改編・存続させ、司法研修所での教育の後の、高度な法曹教育や法曹に対する生涯教育の場として活用する
4 2010年までの新司法試験については、現行のロースクール生をできるだけ法曹として生かすという観点から、合格者数を、現行司法試験に比し、傾斜して配分する(但し、「質」の確保という観点から、択一試験は新・現行司法試験共通とし、新司法試験受験者は、現行司法試験受験者の合格最低点を「目途に」、それをクリアしていることを求める)
5 ロースクールを卒業して司法試験に合格しなかった人の進路については、公証人、政策秘書、公務員などの受験で、配慮できる制度を検討するともに、英国のソリシタを念頭においた準弁護士(弁護士補)資格創設も検討する(そういった検討結果は、上記の「大法学部」法曹コース修了者にも適用する)

ということになる。