「はてな」代表取締役の珍妙な弁明

いろいろと騒ぎになっているようであるが、

http://d.hatena.ne.jp/jkondo/20041102

を読んで、なぜ、このような話になるのか理解できなかった。
近藤氏は、

皆さんの日記の内容を含め、はてな内の情報について、名誉毀損やプライバシー侵害、著作権侵害等によって削除を求める場合には、このガイドラインに沿った申立をお願いしています。この際、第三者はてな内の情報削除を求める場合、削除申立者には「どなたからの申立なのか」を把握するため住所や氏名の開示をお願いしています。
しかし、肝心の情報発信者の登録情報が仮名と思われる内容であったりした場合、そのユーザー様が実際にどなたかなのかが分からず、はてなとしては十分に情報発信者の権利を守ることができない場合があります。つまり、ユーザー登録に必要な情報と、削除申立を行うために必要な情報の不均衡がこれまで起きておりました。

などと述べているが、権利侵害を理由に申立を行う者が、「どこのだれの」権利かを明確にするのは、申立の性質から本質的に要請されるものであろう。
「私がどこの誰かであるかは言えませんが、私の権利が侵害されています。」と言われても、言われたほうは、真の権利者からの正当な申告かどうか確認できないし、確認できない以上、利用規約等に照らして独自に動くことはできても、「権利侵害申告」に基づいた動きは取りようがない。
それに対して、権利侵害を行っているとされている者について、「どこのだれか」がわかっている必要は、そのような権利侵害状態を解消させるためであれば、存在しない。「はてな」にしてみれば、情報発信者と連絡さえつけば(メールで十分可能である)、権利侵害性に関する意見聴取等が十分可能であり、プロバイダ責任制限法上も、意見聴取に対して一定期間に意見が戻ってこなければ、それだけで情報削除を可能にする条項もある。それでも不安なら、メールで連絡がつかない場合は登録を抹消することがあるということを、利用規約に入れておけば十分だろう。そのような経過の中で、権利侵害性が明らかな情報が削除されないのであれば、「はてな」がその権限を行使して、削除等の措置を講じれば良い。プロバイダ責任制限法に従って事を進める限り、「はてな」は保護されるし、やるべきことをやっていれば、何も心配ないのであって、そういった過程において、情報発信者が「どこのだれか」は、何ら把握している必要などない。
近藤氏のような論理(というか論理になっていないが)では、「匿名掲示板」といったものは、存在自体が不可能になるし、プロバイダ責任制限法が、個人の氏名、住所等を持ち合わせていない場合があることを当然の前提にして、総務省令の中で、開示情報にIPアドレスやタイムスタンプを明示している意味も没却してしまいかねない。
はてな」が利用者相手に訴訟でもしたいのなら、名前や住所を登録させる意味もあるが、権利侵害の申立に対応するために、というのは、何の理由にもならない。こういうことを、平気でブログに書くようでは、「はてな」の今後は非常に不安であるし、不安に思うユーザーが多数存在するのも当然である。
上記のような、何の理由にもならない「理由」に基づくものであれば、今回の措置(情報登録)は、速やかに撤回すべきである。