「沖縄決戦ー高級参謀の手記」

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ずっと読み進めていたのですが、細かい戦況の話が延々と続き、地理がわからないのでGoogle マップで引いてみたりしながら読んでいるうちに、結構、時間がかかり、最近、やっと読み終えました。骨は折れましたが、沖縄戦への理解がより深まり、通読して良かったと感じています。

第32軍高級参謀であった著者は、米軍の圧倒的な戦力をよく理解し、「戦略持久」により本土決戦までの時間を稼ぐ方針を立てて、戦略戦術を組み立てます。しかし、大本営や上位の方面軍からは積極的攻勢に出ることを求められ、

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連合艦隊作戦参謀であった三上氏が語るように海軍とも方針に齟齬があり、一時は動揺した第32軍司令官、参謀長から攻勢に出ることを命じられ、やむなく方針を転換しますが、大損害を被り再び持久へと転換します。

そういった経緯は、

 

でも取り上げられているところであり、じっくりと読むことで、著者の意図していたところはよくわかりました。

本書の所々で、沖縄県民や行政関係者(沖縄県知事、警察部長ら)の話が出てきますが、第32軍が、民間人について全く考慮していなかったわけではないものの(沖縄戦前は北部への民間人避難措置が講じられていたことが紹介されています)、沖縄戦開始後は、「早く逃げなさい」程度の関心しかなく、沖縄県全体が戦場になることで膨大な民間人の犠牲が出ることも、やむを得ない、程度しか考えていなかったことも本書を読むとよくわかります。現在の日本においても、核攻撃、ミサイル攻撃等で、日本本土が甚大な戦災を被る現実的な危険性がありますが、全く他人事ではないということを強く感じました。

沖縄戦を振り返り考える上で、通読できて良かったと感じています。