津田氏「企画に自粛効果生まれる」 新しい検閲と批判も

津田氏「企画に自粛効果生まれる」 新しい検閲と批判も(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

芸術祭の津田大介芸術監督は朝日新聞の取材に、文化庁補助金交付決定は通常1年以上前で、決定時点で作品内容などは決まっていないことが多いと反論。「事後的に交付決定を覆されたら、企画内容に強烈な自粛効果が生まれる。事後検閲的な効果が強いという点でも、手続き論的にも問題の多い決定」とコメントした。

 検閲には広狭、複数の定義がありますが、広義では「公権力が、表現行為ないし表現物を事前に検査し、不適当と判断する場合には発表を禁止すること」ということになるでしょう。

「事前抑制」の一種であり、表現への影響が大きいため、日本国憲法では検閲を禁止し、事前抑制に対しては厳しい制約をかける考え方が一般的です。

しかし、あいちトリエンナーレでの一連の問題は、公権力が事前審査により表現行為を禁止しているわけではなく、事後にも禁止しているわけではありません。その意味で、検閲の問題とは切り分けられるべきでしょう。

問題は、津田氏も指摘しているように、補助金不交付が事後に決定され、公権力が、表現行為に萎縮効果を生じさせるような行為に及んでいる、そこだろうと思います。補助金交付決定の裁量において、実質的に、表現そのものを問題にするようなことが行われれば、それは裁量の在り方として違法、不当なものというのが、表現の自由を最大限尊重する日本国憲法の下での帰結でしょう。今後は、補助金不交付という点が争われ、手続の違法、不当性が問題になる中で、そこが大きく問われることになると思います。

訴訟に発展する可能性が高く、表現の自由を巡り今後のリーディングケースになっていくことも大いにあり得るものではないかと私は推測しています。