「悲憤」(中野太郎)

 

悲憤

悲憤

 

私は、検察庁にいた当時、そういう方面に強いと上から見られたのか、暴力団関係の事件捜査を担当することが多かったのですが、そういう経験もあって、いまでも、この種の本は時々関心を持って読むことがあります。

山口組関係の本は多く、内部抗争についても(どこまで真実かはともかく)いろいろと本が出ていますが、本書の特異性は、中野会元会長という当事者本人によるものであるということでしょう。

宅見組組長射殺事件の経緯など、語りに生々しさがあって、新年最初の読書として興味深く読むことができました。

端々に出てくる発想、思考が、いかにもヤクザという感じで、昔、若手検事の頃に、ヤクザからとった供述調書を読んだ上司に「これはヤクザの調書じゃないな」と言われて、一生懸命、ヤクザの発想や思考を学ぼうとしたことが懐かしく思い出されました。