山口組若頭が出所し、今後の、分裂した他団体も含め、その動向が注目されている状況で、これを読んでいなかったなと思い、通読しました。
感じたのは、関西ヤクザと中京ヤクザ(特に弘道会)の、ヤクザとしてのスタイルの違い、それ故に本質的にソリが合わないことで、そういう根本的なところで食い違いがある以上、再び元の鞘に収まるのはかなり難しいのではないかという気がしました。
山健組といえば、山口組内で極めて大きな勢力を誇ってきて、山健にあらずば人にあらずとも言われた名門の組ですが、そういう状態こそが、山口組全体の統率を損ねてきたというのが任侠山口組の主張のようであり、そうである以上、尚更、任侠山口組が神戸山口組に復帰するといったことは困難でしょう。
今後の更なる抗争に発展しかねない現状で、警察当局も神経を尖らせているところであろうと思いますが、私のような、刑事事件を割とよく取り扱う弁護士としても、こういった状況は今後とも注視する必要があると思っており、山口組に深く食い込んできた著者によるものだけに、参考になりました。