「沖縄で公平な裁判受けられない」 元米兵の弁護人主張

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160704-00000101-asahi-soci

管轄裁判所を那覇地裁から東京地裁へ移すよう最高裁に請求したと明らかにした。「沖縄県民による裁判員裁判では公平な裁判を受けられない」と主張している。

刑事訴訟法には、17条で、

検察官は、左の場合には、直近上級の裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。
一  管轄裁判所が法律上の理由又は特別の事情により裁判権を行うことができないとき。
二  地方の民心、訴訟の状況その他の事情により裁判の公平を維持することができない虞があるとき。
2  前項各号の場合には、被告人も管轄移転の請求をすることができる。

という規定があって、おそらくこの条項に基づく請求ではないかと思われます。ただ、規定では「直近上級の裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。」とされていて、解釈としては、直近上級の裁判所管轄内すべての裁判所に、規定されているような事情があればより上級の裁判所(本件では最高裁判所)に管轄移転の請求ができるとされています。本件での直近上級の裁判所を福岡高等裁判所那覇支部と見れば、その管轄内は沖縄しかありませんから最高裁へ請求するしかない、ということになり(それで最高裁への請求がされたのでしょう)、そうではなく、福岡高等裁判所本庁が直近上級の裁判所と見れば、管轄内には九州各地の裁判所がありますから福岡高等裁判所へ請求すべきということになるでしょう。その辺の手続上の問題も含め、今後の行方が注目されると思います。