妻が代表の会社、租税回避地に設立

妻が代表の会社、租税回避地に設立(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース

その後の関係者への取材で、キャロル夫人が代表を務める会社が、タックスヘイブン租税回避地であるカリブ海のイギリス領バージン諸島に設立されていたことが新たに分かりました。この会社の前の代表は、ゴーン容疑者が務めていたということです。
日産側の資金は複数のペーパーカンパニーを通して還流されていることから、特捜部はゴーン容疑者がタックスヘイブンペーパーカンパニーを通すことで、資金の流れを分かりづらくする目的があったとみて調べています。

 東京地検特捜部が、夫人の事情聴取を要請したところ断られ、裁判所に証人尋問を請求したと報道されていましたが、刑事訴訟法では、

第二百二十六条 犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第二百二十三条第一項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。
 
第二百二十八条 前二条の請求を受けた裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。
2 裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護人を前項の尋問に立ち会わせることができる。

という規定があり、第1回公判期日前であれば、捜査機関は裁判所に請求して証人尋問を行うことが

できます。その場合、証人尋問を実施する裁判官は、公判段階での裁判所が行えることができますか

ら( 「前二条の請求を受け裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有す

る)というのはそういう意味です)、証人が呼び出しても出張しない場合は勾引(強制的に身柄を拘

束して出頭させる)ことも可能です。

証人が海外に出国してしまった場合でも、捜査共助条約を締結している国に対してであれば、

 

平成27年版 犯罪白書 第2編/第7章/第3節/1

 

にあるように、相手国の司法手続を利用しての尋問も可能です。ただ、これにはそれなりの時間がか

かりますから、ゴーン氏の現在の勾留中に実施することは無理でしょう。証人が条約締結国ではない

国に滞在していれば実施は難しくなります。

本件でゴーン氏が起訴された場合、上記の記事にあるような、妻が関連会社の代表を務め、しかも、

証人尋問に応じず出国し証拠化が未了ということは、「罪証隠滅の恐れ」、すなわち通謀等につなが

るものとして、保釈を認めない方向に働く可能性があります。その意味では、日本国内での証人尋問

に応じておくメリットもあったということになり、この対応が今後、ゴーン氏にとって吉と出るか凶

と出るか、かなり微妙なものを感じます。

いろいろなことが起きる事件です。