http://news.livedoor.com/article/detail/14457324/
鹿児島地裁に続き、福岡高裁宮崎支部も「殺人事件ではなく事故だった可能性」にまで言及したが、なお福岡高検は特別抗告に踏み切った。その背景について元検事の落合洋司弁護士は、高裁決定の根拠となった法医学鑑定が「真犯人の存在を明確に示すDNA型鑑定などとは質的に異なるからだ」と推察した。
弁護側が第3次再審請求で提出した法医学鑑定は、確定判決が被害者の死因とした「窒息死」を否定し「転落事故による出血性ショック死の可能性が高い」とした。高裁はこの鑑定を認めたが、一方で昨年6月の地裁決定は「直ちに窒息死を否定できない」との評価にとどめていた。
落合弁護士は「地裁と高裁で判断が割れたように、法医学鑑定は裁判官の『評価』に左右される」と指摘。その上で「確定判決の法秩序を守るため、争う余地があれば抗告するのが検察の立場だ」と語った。
特別抗告の理由として認められているのは、憲法違反、判例違反で、大崎事件についても、実質的にはそういった理由はないはずですが、刑訴法411条が
第四百十一条 上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。
一 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。
二 刑の量定が甚しく不当であること。
三 判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があること。
四 再審の請求をすることができる場合にあたる事由があること。
五 判決があつた後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があつたこと。
特別抗告にも準用されるというのが判例なので、判例違反にこじつけて特別抗告→憲法違反、判例違反はないが、最高裁が411条所定の事項(特に事実誤認)についても職権調査、という流れになりがちです。最高裁は、職権調査を行う義務はないですが、どこの馬の骨かわからない弁護人や被告人の特別抗告は簡単に棄却しても、検察官の特別抗告は、事実誤認等も含めじっくりと検討するのが通例で、どうしても時間がかかってしまいます。こういうところにも、裁判所と検察庁の、敗戦まで司法省として一体化した名残があると言えるでしょう。
対策としては、判例変更して、検察官申立の特別抗告については411条の準用を否定するとか、特別抗告については主張からかなり明確に411条所定の事由が窺われない限り職権発動をしないことにするとか、そういったやり方が考えられるでしょう。
「まだ最高裁がある」と、公益を代表する検察庁が主張、立証の失敗を最高裁にすがるというのは、何とかしなければならないという気がします。もし、今後私が政界へ進出するようなことがあれば、こういったことへの取り組みもするつもりです。