http://jp.wsj.com/articles/JJ11479398521651023686716914357511905111327
新たに導入されるのは、他人の犯罪を証言すれば不起訴や軽い求刑を行うことを、検察官が容疑者や被告との間で合意できる制度。対象は汚職や横領、組織的詐欺、独禁法違反などの財政経済事件と薬物・銃器犯罪で、容疑者や被告の弁護人の同意がなければ合意できない。
こういった「取引」を、弁護人側から見ると、公判段階になれば、開示、請求された証拠から、取引の落とし所を見極めやすくなるものの、捜査段階であれば、証拠はまだ開示されず、捜査機関の手の内を、得ている情報から推測しつつ落とし所を探らざるをえなくなってくるものと思われますから、なかなか難しい局面が出てくると思われますし、そういうことができる弁護士をうまく探して選任しておかないと、良い取引ができないということになりかねません。従来の刑事弁護では、こういった、市場で物を売り買いするような能力は表向きでは問われていませんでしたが(実際は、事実上、捜査機関と取引することは行われていて裏では?問われていたわけでしたが)、今後はこういった制度をうまく被疑者、被告人のために活かせるスキルも、刑事弁護人には求められることになります。こういう刑事司法が日本で行われるようになることに、平成の初めにこの世界に入った私としては隔世の感があります。