https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180124-00000025-asahi-soci
司法取引は、警察や検察の取り調べの録音・録画(可視化)などとともに刑事司法改革の関連法に盛り込まれ、2016年5月に国会で成立した。同省は、司法取引により薬物犯罪や企業犯罪、汚職などで主犯格の情報を引き出すことができると想定。組織犯罪や共犯者がいる事件の解明に役立つと期待する。
前に、NHKのクローズアップ現代のインタビュー取材を受けて、
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3698/1.html
かつて検事として捜査に当たってきた落合洋司さんです。
過去の経験から、司法取引は巧妙化する組織犯罪に対して有効だと感じています。
落合さんがかつて担当した暴力団による銃撃事件。
先に逮捕した2人の組員が、事件の首謀者である組長の関与を打ち明けました。
これが組長の逮捕につながったため、2人に対する求刑を軽くしたといいます。
落合さんは、司法取引が制度化されれば初めから刑を軽くすると持ちかけることができるため、より供述を得やすくなると考えています。
元東京地検検事 落合洋司弁護士
「信用性の高い供述というのを求めて解明していくと。犯罪捜査には欠かせない。司法取引というものを使うということはかなり大きな武器になり、効果が出るということは期待できる。」
とコメントしたことがありますが、効果が期待できる一方で、どういう場面で、どのように、司法取引(日本の制度では、捜査・訴追協力型の協議・合意制度と刑事免責制度が導入されることになりましたが)を運用していくか、検察、弁護双方が、かなり手探り状態で進めることになり、実際にどこまで機能するかは、やってみないとわからないという気がします。
例えば、捜査中では、被疑者として、ここは供述すべきか、黙秘すべきか、判断に迷う場面がよく出てきますが、「取引」に応じることで、不起訴になるのであればともかく、軽くしてもらうにしても一定の処罰は受けるという状況下、取引に応じず供述せずに起訴されないことを目指すのか、取引に応じて供述し一定の処罰は受けることになり、後になって取引に応じなければ不起訴だったのにというリスクを負うのか、かなり悩ましいことになるでしょう。
弁護人しては、検察の手の内を推測しつつ証拠構造を読んでいくことが必要になり、かなり高度な、微妙な判断を求められるようになるものと思われます。そういうことができる弁護人は、かなり少数でしょう。単に、たくさん刑事事件をやっているからとか、元検察官だから、といったことではなく、刑事事件というものをよく知った、知識、経験を積んだ思考力、判断力に優れた弁護士でないと務まらない気がします。検察と、うまくコミュニケーションが取れる、単に闘うだけではない、硬軟両面で取り組める能力も必要になりそうです。
こういう制度が導入され、日本の刑事司法も新たな局面を迎えつつあると言えるでしょう。