陸山会公判、地検が資料開示拒否…弁護側は批判

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120207-00000755-yom-soci

小沢被告の公判では、陸山会元事務担当者・石川知裕衆院議員(38)(1審有罪・控訴)の取り調べ担当検事が作成した捜査報告書に虚偽があることが発覚した。弁護側は、この捜査報告書に基づく同審査会の起訴議決は無効だと主張。捜査報告書を含め、どのような捜査資料が同審査会の判断に影響した可能性があるのかを明らかにするため、地裁を通じてリスト開示を求めていた。
刑事訴訟法は、裁判所が刑事裁判の当事者からの請求などに基づき、官公庁や団体に対して資料の開示などを求めることができると定めている。弁護側からは「裁判所が立証に必要だとして開示を求めたものを拒否した例は聞いたことがなく、重大な問題だ」との声が上がっている。

刑事訴訟法279条は、

裁判所は、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

と定め、手元にある注釈書を見ると、報告を求められた団体は報告の義務を負うが義務に違反しても制裁はない、とされています。制裁がないのをよいことに、拒否を決め込むことにしたのでしょうか。
警察から検察庁に送られた事件では、頭に送致書がついた一件記録に目次がつき、その後、関係書類追送書が頭についた書類にも目次がついていて、そこに、検察庁で作成された記録もとじられて、それらが全体として「一件記録」になり、検察審査会から求めがあれば、一体としたものとして貸し出されることになるのが通例です。しかし、検察庁での独自捜査の事件では、いちいち目次も作成せず(作る場合もありますが網羅的には作りません)、そういった整然とした一体性のある記録にはならないはずで(記録量も膨大でなかなか一体化できないという面もあります)、検察審査会へ貸し出す記録は、貸出用として「作る」必要が、おそらくあり、その際に、取調べ状況に関する捜査報告書のような書類は、犯罪の嫌疑の有無、程度を判断するにあたり関係がない、として貸出記録に含められない可能性が高いでしょう。何がどの程度、検察審査会に提供されたか正確にはわかりませんが、やろうと思えば、恣意的につまみ食いした一件記録を作って提供するということも、いくらでもできたでしょう(それを後になって検証することもできません)。こういったところにも、現行制度の不備、問題点が存在すると思います。