東大准教授に逆転無罪=痴漢証言「裁判官が誘導」−東京高裁

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013072500431

山崎裁判長は、女性は当初「犯人の指をつかんで、振り返ったら男性だった」と証言していたと指摘。一審の裁判官が補充質問で、つかんだ人の指が犯人のものだとした根拠を女性に尋ねた際、「つかんだ指から腕が伸びて肩までつながっているが…」などと、答えを誘導したと判断した。
その上で、山崎裁判長は「女性は裁判官の誘導尋問に沿って答えを出したに過ぎず、信用性は乏しい」と述べ、「一審での証言以外に、男性が犯人だと証明できる証拠はない」として、無罪とした。

私が検事をやっていた当時、この参考人の供述のこの部分は核心、といった場合、そこは、敢えて誘導を控えて、どういう話ができるのか、じっくり聞いてみる、ということはやっていましたね。ああだろう、こうだろうと誘導して、そうです、そうです、といった迎合する供述、証言は得られても、それが核心部分であれば、そういう供述、証言が信用できるのか、という重大な疑問を持たれかねない、ということになってしまいます。東京高裁で、上記のように指摘されるくらいですから、1審の裁判官としては、誘導を敢えてせず、時間がかかっても、生の供述を得て、それを評価すべき場面だった、ということになると思います。
尋問というのは難しいもので、当事者は、常に悩みながら、試行錯誤しながらやっているものですが、裁判官の尋問も、事件の結論を左右しかねないこともある、重要なものであるということでしょう。