犯人隠避事件控訴審 新証拠なく25日判決

http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20130922-OYO1T00200.htm?from=main2

1審で最大の争点となったのは、佐賀被告の電話の相手が前田元検事だったかどうか。電話の発着信記録は電話会社に残っていなかったが、判決は、当時佐賀被告と一緒だった2人の同僚検事の「前田元検事だった」という証言を採用。「別の検事だった」とする佐賀被告側の主張を退けた。
このため、佐賀被告側は控訴審で2人の同僚検事の証言を突き崩す必要があった。しかし、佐賀被告側は「最高検の主張に沿った同僚検事らの証言は信用できない」と主張したものの、「別の検事」については証人申請しなかった。

控訴審で新たな争点となったのは、1審判決が「(両被告が)自ら捜査しなかったことが犯人隠避罪にあたる」とした点。大坪被告は被告人質問で、上司の了承なしに捜査できないことを強調。佐賀被告も「前田元検事が故意の改ざんを否定したため、捜査の必要性は感じなかった」とし、いずれも犯人隠避罪の成立を否定した。
これに対し、検察側は「『上司の指揮がない以上、捜査義務はない』というのは、改ざんを闇に葬ることを認めるに等しい」と反論。両被告の控訴を棄却するよう求めた。

私は、具体的な証拠を見ていないので、あくまで報道等を通じ推測される証拠構造等でしか物を言えませんが、前田元検事の証言は、この2人をかばう方向で物を言う立場でありながら敢えて2人に不利なことを、しかも、それで自分自身が助かるような事情もないのに(実際、起訴され服役までしている)敢えて2人による隠避行為を具体的に証言していて、他の検事らの証言による裏付けもあり、控訴審で事実認定が動くとは考えにくいでしょう。上記の記事にあるような、「別の検事」が本当にいるなら、1審段階から証人申請して尋問すべきで、控訴審段階になっても証人申請すらしないのでは、そもそもの実在を疑われても仕方がないと思います。
検察官は、独任制の官庁で、いちいち上司の指示がなければ動けない、ということは法制度上もありませんし、そもそも、上司としては、故意の改ざんという報告を受けなければ捜査を命じることもできないわけで、「新たな争点」というより、従前からの否認を、別の形で表現しているに過ぎないのではないかという印象を受けます。裁判所が取り上げるとは考えにくいですね。
被告人らが否認していて、確かに、解明しきれていない部分はあるにせよ、事件としての構図が、控訴審段階で崩れる、とは考えにくいものを感じます。控訴棄却になっても、被告人側は上告するでしょうから、当分、確定はしないはずですが、すったもんだの上、残るのは検察に対する国民の強い不信感だけ、ということになりそうです。