64(ロクヨン)

64(ロクヨン)

64(ロクヨン)

昨年11月以降、ぽつりぽつりという感じで読んでいたのですが、ようやく読み終えました。6百数十ページという大著で、長かった、というのが実感です。ただ、読後感としてはいまいちでしたね。
(以下、ネタばれ注意)
数日しかなかった昭和64年に発生し、犯人未検挙の身代金目的誘拐事件に絡んで、県警内の刑事部と警務部の争い、刑事部長ポストが県警採用者ではなく警察庁キャリアになる、ということに対する反発、といったことで、物語はだらだらと進みますが、所詮、小さなコップの中の争いのようなもので、これをおもしろいと思う人もいるのかもしれませんが、私にとっては、興味を感じるようなものではありませんでした。
肝心の身代金目的誘拐事件については、捜査の失態が隠ぺいされていた、ということが明らかになり、これは、と期待しながら読み進めたのですが、結局、被害者の父親(犯人の声を電話で聞いて覚えていた)が、県内の人々に何年もかけ片っ端から電話をかけた結果、犯人を特定した、という、およそリアリティに乏しい話の流れになっていて、その結果、逆にその犯人に対して身代金目的誘拐(誘拐は狂言であるものの)を仕掛ける、という、リアリティに首をかしげるような展開になっていて、長い物語中に仕込まれたいくつもの伏線(主役の県警広報官の娘が行方不明になっていることなど)は、そのままになってしまっていて、読んだ後、中途半端な印象を持ちました。
警察の内部がリアルに描かれているのはおもしろいと思いましたが、プロットをもっと考え抜いてほしかった、というのが率直な印象でした。大作であるだけに、残念さが残る読後感でした。