海軍乙事件

新装版 海軍乙事件 (文春文庫)

新装版 海軍乙事件 (文春文庫)

先日、KindleFireHDを購入し、Kindle版で買える書籍を徐々に買って、少しずつ読んでいるのですが、一般書で、最初に通読したのがこれでした。その意味で、記念すべき一冊、ということになります。なお、コミックで、現在、島耕作シリーズを、最初から順番に読んでいるところで、現在、17巻目を読んでいます。これも、久しぶりに改めて読むと、なかなかおもしろいです。
海軍甲事件、乙事件というのは、甲のほうが、山本五十六連合艦隊司令長官が現地視察中に搭乗機が撃墜され戦死した事件、乙事件は、後任の古賀長官が移動中に搭乗機が行方不明になり、別の搭乗機の福留参謀長らが不時着後にフィリピン現地のゲリラの捕虜になった事件を指します。いずれも著名な事件です。
この作品では、著者の吉村昭が、丹念な調査に基づいて、淡々とした筆致で、両事件をはじめ、他の、太平洋戦争等の間に起きた著名な出来事を取り上げていて、改めて読んでみて、興味深いものがありました。海軍甲事件では、山本長官の移動日程の暗号が解読され米軍側に察知されていたことが撃墜、長官の戦死につながり、海軍乙事件は、捕虜になった福留参謀長らが持っていた、極秘の作戦計画書(その後のフィリピン方面作戦の全貌を描いたもの)が敵の手に落ちその後の作戦の手の内を読まれてしまっていたことが、この作品中でも紹介されていて、今につながる、日本が抱える弱点を見るような気がしました。
Kindleでの読書は、手軽、気軽にできてなかなか心地よく、病み付きになりそうです。