大崎事件再審請求、証拠開示命じず判断か 鹿児島地裁

http://www.nikkei.com/article/DGXNASJC25007_V21C12A1ACY000/

大崎事件の弁護側も積極的に開示を求めた。しかし、中牟田裁判長は今年10月、鹿児島地検が作成した未開示証拠のリストについて「開示を求めるつもりはない」と述べ、近く決定を出すことを示唆した。
森雅美弁護団長は「リストぐらいなぜ出させないのか」と憤りを隠さない。
ただ、再審請求での証拠開示については法規定がなく、実質的に裁判所の裁量に委ねられている現実がある。

正に、再審請求段階の証拠開示について、実質的にも形式的にも、「裁判所の裁量に委ねられている現実」こそが問題でしょうね。証拠開示というものは、開示されてはじめて、開示された側に、そこに目指すものがあるかどうかがわかるものです。裁判所だけが見て、これは審理の行方に影響しないだろうと判断しても、当事者が見れば、別の判断や立証があり得る、そういう証拠が埋もれたままで終わらないためにこそ、予め、開示についての適正、公平で実効性のあるルールを定めておいて、そのルールに則って手続が進められる必要があります。
そういったルールが法定されない限り、今後も、上記のような、もやもやとした不透明な事態は頻発し、発見されるべき真実が闇に埋もれてしまう恐れがあり、そういった事態が繰り返されれば、国民の刑事司法に対する不信感が増大するのは確実でしょう。刑事訴訟法の改正により、再審請求段階だけでなく、公判の全段階における証拠開示の在り方を抜本的に見直し、捜査機関が持つ証拠を、被告人、弁護人が大幅に活用できるように制度が改められる必要があると思います。日弁連も、今後、成立する新政権に対して、そういった点も含めた刑事司法の大改革を積極的に提案し、求めて行くべきでしょう。