布川事件 再審無罪 無期確定から33年…検察主張退ける

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110524-00000016-maip-soci

2人と事件を直接結びつける物証はなく、捜査段階での「自白」と、近隣住民の「2人を見た」との証言が確定判決の支えだった。いずれも再審開始決定で否定されたが、昨年7月から計6回の再審公判でも(1)「自白」(2)目撃証言(3)近くの女性の「別人を見た」との新証言−−の信用性が主な争点となった。(3)の調書は第2次再審請求で証拠開示され、事件から43年後に初めて女性は法廷に立った。
こうした経緯や、自白場面のみ記録した録音テープの編集痕などから弁護側は、警察・検察が自白を強要し、無罪の証拠を隠して有罪立証したと批判。「追認した裁判所も重大な責任がある」とし、名誉回復に加え冤罪(えんざい)を生んだ原因を判決で明らかにするよう求めた。

過去の再審無罪事件は、足利事件のようなごく一部の例外を除き、昭和30年までに発生した事件で、捜査関係者には、終戦時の混乱期、現行刑事訴訟法が定着しきらない時期に起きたものという見方もあっただけに、1967年(昭和42年)という、日本が高度経済成長期に入り東京オリンピックが終わった後になっても、こうした、従来の冤罪パターンを踏襲した誤判が起きていたことは、かなり深刻な問題ではないかと思います。同時期、さらにはその後においても、同様の冤罪、誤判が起き救済されず埋もれたままになってしまっている可能性も決して低くはないと見るべきでしょう。
有名な白鳥決定で大きく開かれた再審の扉が、最近は裁判所により再び固く閉ざされつつあるという評価、懸念が強まっている状況にありますが、脆弱な証拠構造(取得過程に問題があり任意性に疑問があるだけでなく信用性にも疑問がある自白、それを支えるとは言えない他の証拠、検察庁が秘匿している被告人に有利な証拠、といった冤罪に共通するパターン)しかない事件には、確定判決が存在するという呪縛から解き放たれてた、疑わしきは被告人の利益にという、白鳥決定の精神に則った対応が、今後、更に強く求められると思います。