DNA型鑑定を「新証拠」に再審開始相次ぐ

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120416/trl12041622030005-n1.htm

刑事訴訟法は再審開始の要件を「無罪にすべき明らかな証拠を新たに発見」した場合と定めている。かつては「開かずの扉」とも言われた再審だが、近年は科学鑑定技術の向上に伴い、DNA型鑑定や再現実験などを「新証拠」に、再審開始決定が出されるケースが相次いでいる。

行刑事訴訟法にはいろいろな問題がありますが、大きな問題の1つに、検察官手持ち証拠について、被告人や弁護人による利用が大きく制約されている、ということがあるでしょう。公判前整理手続が行われる事件では、従来のよりも証拠開示がされやすい仕組みにはなっていますが、十分なものではありませんし、他の事件では裁判所の訴訟指揮に委ねるという、曖昧模糊とした証拠開示でしかなく、検察官が無罪に繋がる可能性を持つ証拠を持っていても開示されない、ということが、当たり前のように起きてしまう構造になっています。検察官手持ち証拠は、真相解明のため税金を使って収集されたもので、公判段階に至った後は、被告人や弁護人も幅広く利用できるという制度にしないと、無罪を指し示す証拠がありながら活用されないまま有罪になる、ということが、今後も起きてしまうでしょう。
「新証拠」が確保でき、再審へと結び付けられた数少ない事件の背後に、検察官手持ち証拠が活用できず、泣き寝入り状態になってしまっている事件が数多く存在する可能性がある、ということを、深刻に受け止め早急な改革、法改正が必要ではないかと思います。