ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争

ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上

ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上

ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 下

ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 下

2009年に邦訳が発売された当時、興味を感じ、すぐに買って読みかけたのですが、とっつきにくく感じ、少し読んでそのままになっていました。最近、北朝鮮情勢に様々な動きもあって、やはり朝鮮戦争というものをきっちりと把握しておかなければ、という意識が強くなって、再び読み始めているのですが、結構、はまりつつ読んでいるところです。
アメリカが、北朝鮮ソ連、中国に対し、朝鮮半島で軍事紛争が勃発してもアメリカは介入しないという、誤った印象を与えてしまったことが南進を誘発したことなど、当時の情勢が克明に紹介されているだけでなく、高齢や健康問題を抱え判断力が低下しているマッカーサーの赤裸々な姿など、当時の関係者の人物像がリアルに紹介されていて、最初に感じるとっつきにくさを乗り越えれば、とても興味深く、読んでいて高揚感のようなものも感じます。まだ、読んでいる途中ですが、アメリカの朝鮮半島情勢に対する対応が、より慎重、周到なものであれば、朝鮮戦争は避けられたのではないかと思われ、その教訓は、その後のアメリカによる朝鮮半島情勢に対する対応に、相当程度生かされているのではないかという印象を受けるものがあります。
著者のハルバースタムは、本書を著わした後に交通事故死し、本書が遺作となりましたが、最期を飾るにふさわしい優れた著作を遺したものだと思います。