JR西前社長、無罪確定へ 福知山線脱線 検察、控訴を断念

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120125-00000502-san-soci

関係者によると、神戸地検控訴審を担当する大阪高検では、100人を超える乗客が犠牲になった事故の重大性や遺族感情も踏まえ、「控訴して高裁の判断をあおぐべきだ」との意見が大半を占めた。
しかし、最高検は19日に開かれた協議などを経て、最終的に「1審の判断を覆すだけの証拠がない」などと判断。検察当局は控訴を断念する方針を固めたもようだ。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20120109#1326096522
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20120112#1326336999

でコメントしたように、刑事の過失に関するスタンダードな考え方に照らすと、無罪判決が出ることはやむを得ないと思います。
ただ、1月9日のエントリーでコメントしたように、JRのような公共交通機関では、安全に責任を持つ幹部がより高い注意義務を持つという考え方もあり得ないわけではない上、控訴せず確定させることで、今後、長く、被害者や遺族の間で、あの時控訴していれば結論が変わっていたのではないかという思いを抱かせ続けることになる、といったことを考えると、はたして不控訴でよかったのか、ということには、微妙なものがあるでしょう。もちろん、控訴することによる被告人への負担ということも考えなければならず、難しい問題と思います。
この判決が、直ちに、検察審査会の議決に基づき強制起訴されたJR西日本の元社長らの公判に影響するわけではありませんが、この件が無罪で、結果発生からはより遠い立場にいた歴代社長らが有罪になる、ということは考えにくく、指定弁護士は、ますます厳しい状況に立たされることにはなるでしょう。