「小沢元代表無罪」に控訴、指定弁護士が決定

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120509-00000592-yom-soci

先日の判決後、

小沢元代表裁判「判決骨子」全文
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20120426#1335428300

で、

ここまで判決が認定しているということになると、強気で犯罪事実を認定する裁判所(代表的なのは東京高裁ですが)が、状況証拠を駆使して、「犯罪成立を妨げるような認識を持っていた可能性」を排斥する、故意や共謀まで踏み込んで認定してくる、ということも、あり得ないことではなく、私が、以前から言ってきている「無罪9割、有罪1割」の、1割になってくる可能性も、高くはないものの、まだ残っているでしょう。強気認定の立場からは、小沢氏は首の皮一枚で辛うじてつながった、と見ることもでき、控訴されれば、そこは再び問題になってくると思います。
小沢氏や弁護団としては、無罪を手放しでは喜べず、今後について予断を許さないものがあるのではないか、というのが私の見方ですね。

とコメントし、私自身は、指定弁護士が控訴する可能性がかなり高いのではないかと見ていたのですが、やはりそうなりましたね。
上記の読売の記事では、

指定弁護士の3人は判決内容を慎重に検討した結果、地裁の認定に重大な事実誤認があるとの結論に至った。現時点の手持ち証拠や今後の補充捜査により、控訴審で無罪を覆す余地は十分にあると判断したとみられる。

とありますが、今後の新たな立証は、1審でやり尽くしている以上、かなり困難ではないかと思われ、現在の証拠関係で、1審判決よりもさらに踏み込んで、有罪という認定をするよう求めて行く、ということになるでしょう。刑事事件の控訴審というのは、裁判をやり直すわけではなく、事後(審査)審で、高裁の裁判官(3名)は、指定弁護士から出される控訴趣意書、弁護人からおそらく出される答弁書を読み込み、1審で取調べられた証拠(一件記録は東京地裁から東京高裁へと送付されます)を精査した上で、控訴審の公判に臨むことになります。スタンスとしては、1審判決に誤りがないかの審査、ということになり、誤りがあるという判断に至れば、原判決を破棄し、おそらく自ら判決する、ということになるでしょう。
今年中に控訴審の第1回公判が行われるのは、まず無理で、今秋あたり(晩秋から、もしかしたら今年末あたりになる可能性も)に控訴趣意書の提出期限が設定され、そこから3か月程度後に答弁書提出期限が設定されて、第1回公判は、早くて今年度末あたり、現実的には来年の4月から5月あたり、といったスケジュールになるのではないかと思います。
控訴審は事後審で、1審で取り調べた証人を再度調べ直したり、といったことは基本的にはしませんから、指定弁護士、弁護人がどういった立証、反証をするかにもよりますが、公判が始まれば、半年以内程度で結審し、判決へ、という流れになると予想されます。高裁判決は、来年の後半あたり、といったところでしょうか。