最高裁第二小法廷平成20年8月27日決定(判例時報2020号160頁)で、判例評論第615号(判例時報2069号)206頁以下で、高橋直哉駿河大学教授の評釈が出ていましたが、本ブログでコメントしていなかったので、ちょっと書き留めておくことにしました。
刑訴法321条3項、4項は、
3 検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第1項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
4 鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても、前項と同様である。
という規定で、証拠能力が生じるための要件は3項も4項も変わりませんが、この種の書面について、4項の書面に準じるということを最高裁が明示したことに意義があるということになるのでしょう。
弁護人が専門家に依頼して作成されたこの種の書面については、4項準用を否定する説も有力であるようですが、捜査機関とのバランスを図る必要上、捜査機関が依頼すれば証拠能力が認められるようなものについては証拠能力が認められるべきで、最高裁でも、今後、そのことを明示した判断が出されることを望みたいと思います。