警察庁、Nシステム「記録示すな」 秘密保持の徹底求める

http://www.kobe-np.co.jp/knews/0002139252.shtml

殺人事件の証拠開示請求をめぐり、警察庁が自動車ナンバー自動読み取り装置(Nシステム)のデータ記録や解析報告書について「裁判所が開示命令を出す可能性は否定できない」として、全国の警察に秘密保持を厳守するよう指示していたことが18日、捜査関係者への取材で分かった。
取り調べ対象の容疑者らにデータ記録を直接示すことなどを禁じており、最高検も「データの証拠化を警察に求めず、取り調べ対象者がデータの存在や内容に気付くような受け答えを禁止する」と全検察官に指導した。
最高裁が警察官の備忘録(メモ類)を証拠開示の対象と認めるなど、裁判員裁判の実施を前に捜査資料を被告側にも可能な限り示そうとする司法の姿勢に対し、捜査当局側が危機感を募らせた結果とみられる。

従来、Nシステムについて、検察庁が立証に使用したり、裁判所が証拠開示を勧告、命令した例はないはずですが、事件によっては、その内容が、被疑者、被告人のアリバイの成立に関わるなど、帰趨を決する重要な決め手になる可能性もあって、今後、公判や公判前整理手続で、証拠開示が裁判所により命じられる、といった事態になることは十分あり得るでしょう。
そもそも、全国でNシステムが張り巡らされているのは周知の事実で、上記の記事にあるような措置を講じても、あまり意味があるとも思えませんが、それだけ焦りがあるということではないかと思います。
Nシステムについては、既に書籍等でその仕組みはかなり明らかになっているので、問題委意識を持つ弁護人は、そういった資料を読み込んだ上で、証拠開示を積極的に求めてみるということも、事案の内容によってはやってみる価値があるでしょう。