自宅から葬儀丸見え、フェンスかさ上げ命令…人格権侵害と

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080917-OYT1T00051.htm

判決によると、葬儀場は2005年10月から利用が始まった。同社は周辺住民の要望でフェンスを設けたが、原告宅の2階は視界を遮られず、参列者の出入りや出棺の様子などが見渡せるようになっている。
井戸裁判官は判決で「安息を求める自宅で日常的に他人の葬儀に接すれば、心の静穏が乱される」と述べた。

人は必ず死ぬものであり、葬儀というものは死者を送る儀式ですから、そのような性格のものについて、日常的に見えてしまうからといって「人格権侵害」と評価できるかどうかについては、微妙なものがあるでしょう。「心の静穏が乱される」から、即、人格権が侵害されている、というものでもないと思います。
ただ、葬儀の光景を日常的に目にして心楽しいはずもなく、紛争の解決方法として、フェンスをかさ上げし視界を遮るということは、一つの有効な手段ではないか、と思います。
判決で、被告に一定の作為を命じるからには法律上の根拠が必要であり、本件ではそれを人格権侵害に求めるしかなかったものと思われます。別の理論構成で、同様の結論を出すことはできないかと考えてみましたが、なかなか思い当たりません。
この種の紛争は各地で起きているはずで、近隣紛争としても参考になる事例と言えるでしょう。