ピンク・レディー敗訴 パブリシティー権で最高裁が初判断

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120202/trl12020211190001-n1.htm

パブリシティー権は、著名人が自分の氏名や肖像から生じる経済的利益を独占できる権利。法律に明記されておらず、権利の内容や保護の範囲をめぐる最高裁の判断が注目されていた。
同小法廷は、パブリシティー権の定義について「肖像などは商品の販売を促進する顧客吸引力を有する場合があり、これを排他的に利用する権利」と初判断。その上で、(1)ブロマイド写真など肖像自体を鑑賞の対象として使用する場合(2)キャラクター商品のように、商品の差別化を図る目的で使用する場合(3)商品などの広告として使用する場合−に、パブリシティー権が侵害されると判示した。
ピンク・レディーのケースは「ダイエット記事に関する記事の内容を補足する目的で使われたもので、顧客吸引力の利用を目的するものではない」と述べ、光文社側の賠償責任を否定した。

最高裁のサイトでも掲載されていますね。高裁レベルまででは、既に広く認められた権利ですが、最高裁で正面から認められた意義は大きいと思います。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120202111145.pdf

私なりに、この判決の持つ意義として感じているのは、

1 パブリシティ権について、「商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する肖像等につき、肖像等それ自体の商業的価値に基付き、顧客吸引力を排他的に利用する権利」と明確に定義付けたこと
2 パブリシティ権の法的性質について、「人格権に由来する権利の一内容を構成するもの」として、広い意味での肖像権の一環として位置付けていること
3 肖像等の無断使用が違法とされる場合について、「専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合」としつつ具体的に明示し(上記の記事にあるように)、正当な表現行為等との関係で制約される場合もあることを明らかにしたこと

ではないかと思います。
今後、問題となりそうなのは、このようにパブリシティ権が「人格権に由来する権利の一内容」とされたことで、財産権的な側面をどう見るかということであり(譲渡性、死後も存続するか、存続するとして何年か等)、それについて、最高裁が何らの判断も示していないことで、議論が再燃しそうな気がします。最高裁による、上記2のような考え方を重視すれば、死後に存続するとしてもかなり限定的なものにならざるを得ないということにもなるでしょう。死後にどうなるかということについては、今のところ正面から判断を示した裁判例もなく、死後に「肖像等それ自体の商業的価値に基付く顧客吸引力」が存続する人も少なくない状況の下、考え方の整理が必要ではないかと思います。