裁判員制度にらみ方針転換 警察庁

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080314/trl0803142331018-n1.htm

警察庁は今回、可視化の試行を検討するにあたり、組織犯罪の捜査などは除外する方向だ。
暴力団犯罪や麻薬などの組織的密売など、組織犯罪の取り調べでは、容疑者の供述がその後の捜査を大きく左右する。容疑者と取調官の特有の信頼関係が前提で、録音、録画にはなじまない」。ベテラン捜査官は指摘する。
警察庁は検察の試行状況をにらみ今後、制度の細部を検討する。ある幹部は「犯罪の解明に支障を来さず、任意性の立証に役立つ制度設計を作るのは、かなり難しい作業になる」としている。

この問題に関し、捜査機関がよく言う「信頼関係」なるものが、真の意味での信頼関係なのかどうか、ということが、現状では検証しようがない、ということが大きな問題でしょう。検事に頼んで求刑を軽くしてやる、これを認めれば他は握ってやる、認めないと家族を苦しめてやる等々、特に最近の取調べは、利益誘導と脅迫、恫喝を駆使することで、見せかけの「信頼関係」をかもしだし、捜査機関の思い描いたストーリーに沿った供述を作り上げて行く、というものにになってしまっている場合が多い、と思います。最近、無罪が多いのは、そのあたりの事情が裁判官の中にもかなり浸透し、さすがにつきあいきれない、と見捨てられつつあることの現われでしょう。
そういった取調べしかできていない捜査官が、取調べ状況の録画、録音の下では、真相を解明する取調べができるとは到底思えず、特に警察は、上記の記事にあるような、抗しがたい大きな流れの中で、今まで取調べの適正化をきちんと行ってこなかったツケを支払わされることになる可能性が高いと思います。