幼児3人死亡事故、「飲酒影響」は困難か…業過致死を追加

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071218-00000304-yom-soci

検察側はこれまで飲酒の影響で事故が起きたとして危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)の適用を主張。ひき逃げとの併合で法定刑上限となる懲役25年を求刑していたが、地裁は「飲酒の影響で正常な運転ができなかったとみるのは困難」と判断したとみられる。

刑事訴訟法上、審判の対象である訴因の設定、変更権限は検察官にありますが、裁判官が訴因変更等を命じることもできます。元の訴因を変更するよう命じることもでき、また、記事にあるように、元の訴因は主位的訴因として維持しつつ、それが認定されなかった場合に備えて予備的訴因の追加を命じることも可能です。
検察官が命令に従わず元の主張をそのまま維持することも可能ですが、維持したことで、無罪判決などが出てしまう可能性もあります。
来年1月8日判決予定の本件で、結審後の今になって記事にあるような命令が出た、ということは、少なくとも、裁判所が、危険運転致死傷罪の成立に疑問を持ち、同罪が成立しない可能性がある、という心証を抱いていることによるものでしょう。同罪成立が否定される、とまで断定はできませんが、かなり認定が厳しい状況にはなっているものと推測されます。
飲酒運転撲滅の動きに大きな影響を与えた本件ですが、裁判所による判断にあたり、危険運転致死傷罪の成立が否定されかねないという、重大な局面を迎えたということができると思います。