覚せい剤使用に無罪 佐賀地裁判決「知らずに錠剤服用」

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20071122/20071122_004.shtml

伊藤ゆう子裁判官は「知らずに服用した錠剤から反応が出たもので、故意の使用は認定できない」として、無罪(求刑懲役1年6月)を言い渡した。
判決によると、男性は4月、同市内のパチンコ店で顔見知りの男からバイアグラと言われて錠剤6錠を購入。このうちの1錠に覚せい剤成分が含まれていた可能性があったのに服用した。

尿中から覚せい剤成分が検出され、被疑者、被告人が使用や犯意を否認している事件では、従来は、裁判所、検察庁において、

1 覚せい剤は、日常生活の中で入手困難な特殊な薬物であり、尿中から覚せい剤成分が検出されたこと自体で、故意に基づく使用が強く推認される
2 上記のような構造を覆すだけの、特別な事情があるあるかどうかは、一応、検討するが、通常はあり得ない
3 上記の観点で、被疑者、被告人の弁解を排斥して有罪

という判断構造が確立されてきた、という経緯があります。
しかし、最近、上記の記事にあるように、覚せい剤成分が入った錠剤、というものが出回っているという実態があり、そのような錠剤を、それとは知らずに服用する、ということが起きてもおかしくない状況になっているという現実があります。上記の1や2の前提となる状況が、変わってきている、と言って良いと思います。
覚せい剤事件における上記のような判断構造がなぜ確立されてきたかをよく考え、被疑者、被告人の弁解にも謙虚に耳を傾ける必要性が、より高くなっている、ということは指摘できると思います。