ASKA愛人、最強弁護士で無罪も

http://topics.jp.msn.com/entertainment/general/article.aspx?articleid=5749781

「性交渉で(覚せい剤が)尿に混じることは通常考えられず、一般的に尿から検出された場合は体内に入れたことを表している」とされる

ヤメ検があっちこっちでコメントしている割りには、とりとめがない話になっている印象がありますが、こういった違法薬物の使用・否認事件では、

・そういった違法薬物は、日常生活の中で存在するのが例外なものであり
・そのような薬物が体内に入っていたということ自体により、自己の意思に基づくものであったことが推定され
・そうではない可能性が、合理的な疑いのレベルで存在しない限り有罪

ということが、まず基本とされるのが現行の刑事実務です。鑑定の過誤、という主張も出ることがありますが、そこで無罪になる、ということは、まずないのが現状です(鑑定がかなり慎重に行われているということによるでしょう)。
よくある弁解は、「誰かに知らない間に飲まされた」といったもので、上記の記事によると、被告人、弁護人は、汗、体液の混入による、といったことを想定しているようですが、そういった「微量」の薬物により鑑定で検出されるほどの結果が出ることはない、ということで判決では否定されているのが実状です。この点に興味ある人は、

もう一歩踏み込んだ薬物事件の弁護術 (GENJIN刑事弁護シリーズ15)

もう一歩踏み込んだ薬物事件の弁護術 (GENJIN刑事弁護シリーズ15)

の149ページ以下に、丁寧に解説されていますから、読んでみて下さい。そういう弁解で無罪になるのがなかなか難しいことがわかります。
実際の証拠関係を見ていないので、有罪、無罪を推測することは困難ですが、要は、裁判所が、自己の意思に基づかずに覚せい剤が体内に入り、鑑定書でそれだけの結果が出るほどの具体的な可能性があったと認定するかどうかであり、報じられている内容を見る限り、そこまでの心証を裁判所が得るだろうかと感じるものがあります。先日のASKA氏への被告人質問で、検察官が、この愛人氏へ隠して覚せい剤を施用していたことはなかったことを強く念押ししていたことが報じられていましたが、その点を押さえておきその可能性を封じておこうとするのは、この種事件での検察官の常道です。