力士急死:「愛知県警の初動にミス」 新潟大解剖医が指摘

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20071014k0000m040108000c.html

関係者によると、26日深夜に遺体を引き取った新潟市の遺族が傷を不審に思い、新潟県警に解剖を要請。同県警は検視の結果、「普通の傷ではない」と判断、愛知県警に連絡した。死後1日以上経過した27日夜に出羽准教授に愛知県警から解剖の要請があった。
解剖の結果、死因は「多発外傷による外傷性ショック死」で、出羽准教授は、当初の死因とされた心不全・虚血性心疾患について「これは解剖結果ではないし、違う」と否定した。そのうえで、「『激しいぶつかりげいこで亡くなった』という部屋側の話をうのみにして事件性がないと判断した可能性がある」と愛知県警の検視を疑問視した。さらに「家族に連絡もせずに遺体を親方に返してしまった。結果的に加害者(の疑いがある部屋)側に返したことになり、常識的に考えておかしい」と批判した。
出羽准教授は、解剖は当初発表のあった監察医による行政解剖ではなく、遺族の了承を得て公費で行う「公費承諾解剖」と呼ばれる方式で行われたことを明らかにしたうえで、「私に連絡がつかず解剖が行われなければ、『事件性がない』で終わったかもしれない」とも指摘している。

以前から、

検視で殺人見逃し、10年で13件…体制の不備判明
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070521#1179703395
変死の解剖、わずか9%…犯罪・欠陥事故見逃しの恐れ
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070517#1179387127

でもコメントした問題ですが、上記の記事にある事件でも、解剖が行われていなければ、被害者にも遺族にも何の救いもなく、真実は闇に葬られ、今後、第2、第3の同様の被害者が出た可能性もあり、愛知県警の初動ミスには、かなり深刻なものがあったと言っても過言ではない、と思います。
これは、愛知県警だけの問題ではなく、日本の、この分野に関する体制に根本的な問題があるが故のことですから、愛知県警をたたいてそれで終わりにするのではなく、制度面での改革、必要な組織の設立等へとつなげて行く必要があると思います。与党の腰が重ければ、参議院過半数を握る野党に頑張ってほしいところです。
この種の初動ミスで、闇に葬られてしまったままになっている殺人等の事件は、かなりあるはずで、それを考えると、恐ろしいことだという意識を、まず強く持つ必要があるでしょう。

追記:

上記の記事にある、新潟県警の適切な判断、対応は、評価されるべきではないかと思います。ただ、現場から遠く離れた新潟県警ができることが、なぜ愛知県警にできなかったのか、という厳しい見方にもつながるものがあるでしょう。